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秋桜の乙女心/ko-chan ページ7

*

「ねぇA、絶対これ似合うから!」

お願い、1回だけ着てみて!と友人に促され、普段着ない色のワンピースに袖を通した。普段着ないものを着るというのはなかなか緊張するもので、それでも心が躍って。

「やっぱり可愛い!」

なんてあんまりにも言われるものだから、ついつい乗せられてワンピースを買ってしまった。お財布には優しくないけど、心は充実していた。

せっかくだからこのままコスメも選びにいかない?と袖を引かれ、あっという間に連れていかれてしまう。

「はずかしいよ…」
「何言ってるの!彼氏にも見せたいくらいの可愛さでしょ」

彼氏、という言葉に思わず頬が熱くなる。航平は、いつもと違う私を見たらどう思うかな…

頭の中で、『A…可愛い』と照れる彼のことを想像して、なんだか口角が上がってきてしまう。

「今から会いに行ったら?」
「え、」

せっかくおめかししたのに会わないなんて、損じゃない?と屈託のない笑顔を見せて、私に詰め寄る。ずい、と迫られてはどうしようもないけれど、確かに…彼に会いたい。

でも、急になんて。今日彼の仕事が休みなことは知っているけれど、いきなり会うのは迷惑じゃないだろうか。そんな思考がぐるぐると頭の中を巡った。

「…会いに、行こうかな」

それでもやっぱり会いたい気持ちが強い。照れ隠しに指を組むと、友人に借りた練り香水が香った。

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作者名:エリッサ | 作成日時:2021年1月7日 19時

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