魔性と運命のタトゥー/ko-chan ページ20
*
俺の好きな人はすごく素敵で、優しくて、くしゃっとした笑顔が可愛い人。裏表がなくて気が置けない。
動画に出たりイベントに出たりすることが多い俺と、ウェブ記事を担当しているAさんは、以前ほどオフィスで会うことがなくなった。会っても少し顔を合わせるくらいで、正直寂しい。
「会いたいなぁ」
ぽつり、独りごちてスマートフォンの画面を指でつついた。さて仕事を進めようか、と伸びをするとスマートフォンが震えた。メッセージだ。
A校閲の〆切、もう1日早めても大丈夫?
大丈夫です
A流石渡辺くんだね
そんなことないですよ
彼女からの連絡、というだけで、何でもない事務連絡にさえ口角が緩む。家で仕事をすることが増え会えなくなった今、こうした些細なことが俺の幸せになっている。
Aそういえば
明後日のイベント、私も着いていくことになったの
急用が出来たらしくて、代打だけどね。一緒に行くはずだった他の人が、行けなくなってしまったらしい。思ってもいなかったサプライズに、ついついガッツポーズをしてしまった。浮かれすぎか?
そうなんですね!
よろしくお願いします!!
あくまでさり気ない風を装って返信をする。先程の〆切の話は、もう頭の中になかった。
98人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エリッサ | 作成日時:2021年1月7日 19時