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『…でもそれを見て見ぬふりしないのが社会』
「…どういう、?」
『名前は出せないけどうちの職員が見てたんだよ、ずっと。高橋と北斗が放課後一緒にいるところ。』
「……」
『怪しんでたところでついに目にしたんだって』
…もしかして、あの日の、
『北斗が高橋の頭に手を伸ばして、髪の毛を耳に掛けて』
「…っ、先生、ゴミ取っただけって、っ」
『それまでの積み重ねでそれはもう言い訳にしかなんないの』
「違う、っ、違う、私が勝手に好きになっただけで、」
『…2人きりになることを許したのはあいつなんだよ』
そして、その翌日職員会議でその話題が出され、
とりあえずとして先生は停職処分
その1週間後に先生自ら辞職届けを提出したらしい
先生、なんで否定しなかったの?
そういうんじゃないって、ゴミついてたからって、
自分に生徒に対する恋愛感情は持ち合わせてないって、
そしたら、そしたら、
『残酷なこと言うけど高橋が思ってるより社会は優しくないよ』
「…もう、先生に会えないんですか、?」
『“忘れてほしい”って言ってたよ北斗』
「…先生と仲良いなら伝えてくださいよ、会いたいですって」
『俺も北斗と同意見、早く忘れるべきだよ』
“気をつけて帰れよ”とだけ残して高地先生は教室を去っていった
広い部屋にポツンと取り残された私は酷く泣いた
先生の言っていた“普通じゃない”が
はっきりと輪郭を帯びて私の前に姿を現して
普通じゃないことの残酷さを知って、酷く傷ついた
ただ好きなだけだったのに
少しでも一緒にいたかっただけなのに
先生の笑った顔を見たかっただけなのに
先生と出会ってまだ1年も経っていないのに
この“普通じゃない”私の恋は強制的に幕を閉じられた
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年11月21日 23時