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ふと高地先生が緊張した面持ちに変わる
空気が変わったことに気づいて無意識に私の背筋も伸びる
『あいつ、…松村先生のこと考えながら書いたんだろ?』
「……」
『俺英語だけはマジでダメだからさ、何言ってるかわかんなかったけど補足で付けられてた日本語訳見てそう思ったんだよね』
きっと…いや、間違いなく高地先生にはバレている
私が先生を好きだったことも、
放課後何かと理由をつけて先生と会っていたことも
抗っても無駄だと思い静かに頷けば、
“あいつも聞きたかったと思うよ”だなんて
そんな憶測の言葉だけなら誰にでも言えるのに
『俺は全部見てないふりしてたからさ』
「…え?」
『高橋が松村…、てかもういちいち先生呼びだるいから北斗って呼んでもいい?伝わるっしょ?』
高地先生が呼び捨てにするくらい
先生と親しい関係にあることに驚く
だけど、そんなことも知らないんだって思われるのが嫌で
平然を装って“大丈夫です”とだけ声に出した
『高橋が北斗のこと好きなのも、放課後会ってんのも、……まあ他にも色々、俺は全部見て見ぬふりをしてたわけよ』
あまり深い関わりを持ってきた人ではなかったけど
先生というだけあって周りのことをよく見てるんだな
なんてわけもわからぬ感心を高地先生に抱く
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年11月21日 23時