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「先生…」
『…ごめん、頭冷やしてきた』
「…え?」
『さっきの、髪の毛のゴミ、取っただけだからね?』
…やっぱりそうだ。
期待なんてするだけ無駄、良かった変に自惚れなくて
「…私は耳に先生の手が触れて心臓バクバクでしたよ?」
『…ふは、全然お子ちゃまだね?高橋さんは』
笑ってるはずなのに笑っていないような先生の笑顔には
気付かないふりをした
“さっきも言ったけどさ”と前置きをして先生が言葉を続ける
『簡単に先生が好きとか言っちゃだめだよ』
「…なんでですか」
『誰が聞いてるかわからないでしょ』
「いいじゃんか、…私が一方的に好きなだけなんだから」
『そういう問題じゃないの』
「じゃあ、」
『…普通じゃない、って前にも言ったでしょ』
“普通の恋、したら?”
あの時の先生の言葉が脳内に蘇る
あの時も言ったはずなのに
私にとっては普通の片想いなんだって
もう一度言おうと思って口を開いたのに先生に遮られる
『高橋さんからしたら普通かもしれない。
だけど、他の人からしたら…、俺にとっても普通じゃないの』
「なんで急にそんなこと言うの、?
この間は“高橋さんには敵わないな”って、そうやって笑ってくれたじゃん」
『急にではないよ、前も言ったでしょ?普通の、』
「やだ!!知らない!!!」
また同じ言葉を聞きたくなくて耳を塞いで部屋を飛び出した
さっきまであんなに苦しくて、だけどドキドキして
自分は先生が好きなんだって実感する幸せな時間だったのに
……意味がわかんない
今まで幾度も好きを伝えてきて、笑って流してくれてたのに
急にあんな突き放すこと言うなんて
いつもそう、先生を想う幸せな時間は長く続かない
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年11月21日 23時