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終礼が終わって帰る準備をしていれば
再び教室に現れた先生
こんなこと初めてだった
だからみんなも不審がって
“先生どうしたんですか?”って質問攻め
“個人レッスンがあるのよ”
そう口にする先生と一瞬視線が交わる
途端、急に恥ずかしくなって教室を抜け出してトイレに駆け込む
後方からは
“私も英語苦手だから教えて欲しいです〜”
“松村の補習なら俺も受けよっかなー”
そんな声が聞こえてきた
最初こそ根暗だ真面目だ陰キャだなんだって
言われたい放題だった先生だけど
今ではいじると面白いとか意外にイケメンだとか
そういうので人気になってきていて
「…私だけだったのに」
そんな想いを隠して洗面台の前で頬をペチンと叩く
教室が静かになったのを確認して、
トイレからかけ足で戻った
「…せんせ」
『やっと戻ってきた』
窓を背にして、私の前の席に座っていた先生
射し込む西日のせいで先生が眩しくて、儚く見えた
先生が私を待ってくれていることなんて初めてで、
照れくさくてスカートの裾をくしゃっと握りながら駆け寄る
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年11月21日 23時