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『カーテン、なんで開けないの?暗いでしょ』
部屋に入って来るや否や一直線に向かったのはベッドの向こうの窓際
…何も知らないくせして
「開けたくないから開けてないの、触らないで」
自分が思っている以上に冷たい声が出る
その声にピタリと動きを止めた母親
俯く私に視線が突き刺さる
『…怒ってるよね、あんなことして』
「…何しに来たの」
『謝りたくて、Aに』
「……」
『また、Aと一緒に暮らしたいなって』
「……」
言葉が出なかった
どんな気持ちでそんなこと簡単に口に出せるのか
この3年弱をそんな一言でなかったことにできるつもりなのか
『新しい家も探しててね、早ければ年明けにでも引っ越せそうなの』
「…何言ってるの?」
『高校は変わっちゃうことになると思うんだけど』
「…は?」
『お母さんすっごい反省してる、Aのこと傷つけて。
だけど、最後でいいからもう一回チャンスが欲しいの、お願い』
“手続きとかもあるから今日は来たんだけどね”
そう言って少し大きめのトートバッグを見せてきた
何を勝手に決めてんの?
謝りたい?一緒に暮らしたい?引っ越す?
……高校が変わる?
…何を勝手に
結局いつまでもそうだ
自分の都合で私を振り回してばかりのこの人
この前は好きな人ができたから
そしてどうせ今回はその人と別れたとかどうかに決まってる
…本当にあり得ない
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時