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「…なんであんな珍しいことしたの?」
各クラスで催されている屋台だったり、出し物だったり、
2人でまわっている時間
嫌、とかそういうわけではなくて
だけど森本くんにしては珍しい行動だったから聞いてみる
『周り見れてなかったよね、ごめん』
「謝ってほしいとかじゃなくて」
『聞こえたんだよ、他の男子が今日の高橋さん可愛くね?とか
なんたらかんたらほざいてんのが』
“我慢できなかった(笑)”
小さく笑う森本くん
教室を出るときに握られていた手はあのあとすぐに離されて
今も触れそうで触れない距離感を保っている
これはきっと、彼なりの気遣いで
だけど、私にはその手に自分から手を伸ばす勇気がない
森本くんが大好きだから、大切だから
…きっと、森本くんの優しさで築き上げてきたこの関係性
それに自分の意志が加わると何かが壊れそうで怖くて
こんな些細なことでそう思ってしまう私は
自分が思っている以上に彼のことを失うことに恐れている
「…デートみたいだね」
『デートだよこれは』
くしゃくしゃっと笑う森本くんに釣られて私も頬が緩む
屋台でご飯を食べたり、2人で写真を撮ったり、
去年の文化祭では味わうことのできなかった充足感
後夜祭は、夕方突然降り始めた雨の影響で中止になってしまった
だけど雨なんか気にすることなく、
2人きりの教室でその後の時間を楽しんでいた
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時