胡蝶の夢-2- (ページ41)

今日:47 hit、昨日:74 hit、合計:53,615 hit

LAST ページ41

・

『あ、頭どう？だいぶマシ？』

そんなことを思い出していたらまた眠ってしまっていたようで

次目が覚めたときに傍にいてくれたのは森本くんだった

「あれ、田中くんは？」

『樹？さっきサボったのバレて叱られてる』

安易に想像できるその光景

2人で顔を見合わせて笑った

森本くん越しに見える空はもう晴れ渡っていて
さっきまでの天候はつゆ知らずといった様子

「もう頭痛くない」

『ほんとに？』

「うん、森本くんいるから」

『ねえもう適当言うなって』

「本当だもん」

なかなか信じてくれない森本くんに窓の隙間をすり抜けてきた
一匹の蝶が止まった

動物やら昆虫やらがあまり苦手ではない森本くんは
スゲ～ってテンションが上がってる

「なにがすごいの？」

『だって今冬じゃん！冬って蝶ほぼ飛ばないんだよ』

「へー…あり得ないことなんだ」

『そう！普通じゃあり得ない！』

「じゃあ夢なんじゃない？」

『へへ、夢じゃないよ』

「そうなの？」

『そうだよ？Aがいるから夢じゃない』

手を握って、頬に触れて、キスをして

“蝶々もこれも、今までも全部夢じゃないからね！”って

そんな貴方が隣にいる未来もただの夢で終わらないように

一生を掛けて、私の我儘を叶えてもらうんだ

fin

・