胡蝶の夢-2- (ページ38)

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『森本くん…よね？』

母親がメモ帳を泣きそうになりながら握りしめていた

その隣で叔母が声を掛けたのは森本くん

『…え！あ、はいっ、』

『また、会おうね？』

『あ…！ぜひ！！』

きっと森本くんも私以上にたくさん考えてくれていただろうし、
たくさん緊張していたってことは理解しているつもりではあるんだけど

どうもこんな語彙が皆無になっている様子を見ると頬が緩む

叔母もそんな私を見て微笑んでくれた

タクシーを呼んでいたのか、

先に乗り込もうとする母親を尻目に朝のように優しく抱きしめてくれた叔母

『無理しなくていいんだからね』

「うん」

『無理に連絡する必要もないしAが気が向いた時だけでいいんだから』

「うん」

『あとは……、いや、うん、森本くんいれば大丈夫だね』

「うん」

母親と叔母を下まで見送って振り返ると

優しい表情を浮かべた森本くんが両手を広げていた

自分の中で張りつめていた糸が切れてその胸に飛び込めば

『頑張ったね、頑張ったよ』

優しい声でそう繰り返しながら何度も頭を撫でてくれる

この温もりだけは、絶対に離したくない

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