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少しして足音が聞こえてきたから泣いていたのがバレないように急いで涙を拭う
…よし、大丈夫
深呼吸をして叔母に挨拶をしようと振り向くと
抱きしめられる
「…どしたの、?」
唐突すぎる行動に理解できず、手は宙を舞ったまま
『…久しぶり、ごめんね』
「え?」
『Aの傍にずっといてくれる人がいるんだね』
身体を離して潤んだ瞳で私を見上げてくる叔母
あの頃と変わって、叔母が私を見上げるようになっていて
あの時からそれなりに時が経ったことを実感する
そして、あの日からずっと叔母は
こうやって私に寄り添おうとしてくれていた人だったことも思い出す
『森本くん…?すっごい優しそうでAのことを大切に思っているんだろうなって』
「……」
『あの頃とは全く違う表情しているんだもん、A』
だけど私は、母親に捨てられたことで人を信じられなくなった私は
そんな叔母に対してろくな態度を取ることも出来ず、
早く高校生になって叔母の家を出ることだけを考えていた
「…叔母さん、私、」
『母親の思い通りに動く必要はないのよ』
“1回姉さんに話してみようよ、ね?”
もう何度目かわからない、ボロボロ溢れてくる涙
そんな私の肩を抱いて一緒にエレベーターに乗り込む叔母も静かに鼻を啜っていた
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時