77 ページ27
・
悔しいけど、悔しくてたまらないけれど
私たちは世間的に見ればまだまだ子ども
私がどれだけ彼と離れたくないと願ったって
彼がどれだけ私のことを守ろうとしてくれたって
その想いだけで全てが上手くいくわけではないだろう
そんなこと口にせずともふたりともわかっているから、
抱きしめあったまま、お互いを感じあうことしかできない
「…来週、には引っ越し、でさ」
『……』
「…よく捨てた子どもとまた暮らそうだなんて思えるよね」
乾いた笑いしか出ない
森本くんはゆっくりと身体を離し、慈しむように私の頬を包み込む
…そんな目で見ないでよ
また、泣きたくなってしまう
森本くんへの気持ちばかりが溢れてしまう
『俺…、俺に、できることはない、?』
「いっぱいあるよ」
『なに…?なんでもするから、』
「今みたいにこうやっていてくれること、とか」
『…あとは?』
「んー、学校で元気にいてくれることとか」
『今想像してる世界にはAは存在してるよね?』
「当たり前じゃん、死んだりしないよ」
『そうじゃなくて、っ』
今度は森本くんの瞳がキラキラしはじめた
…さっきから何やっているんだろう
お互い、交互に泣いたり泣き止んだりを繰り返して
馬鹿らしくて、くだらなくて笑えることなのに
また零れてしまうそうな何かを堪えるのに必死で笑えない
・
935人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時