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『ずっとずっと、こうしてたいね』
「…森本くん海好きって言ってたもんね」
『大好きな海と大好きなAがいればいいかも』
「…だめだよ森本くんにはたくさん友達いるんだし」
『んは、そうだね、あいつらも大事』
お互いに抱きしめあいながら喋ると、
声が振動になって身体を伝ってくるから程よく心地よい
森本くんが小さな笑い声をあげたのを最後に
沈黙が私たちを包み込む
会えて嬉しいのは本当、
だけど何を話せばいいのかわからないし
きっと森本くんも何を聞いていいのかわからないんだと思う
ふと、抱きしめる力にまた力が込められた
『…ごめん』
「…え?」
『…ごめん、お願いだから、…いなくなんないで』
呼吸が浅くなる音が聞こえてきて、
森本くんが泣いていることに気付いた
顔を見られまいとしているのか、どんどん強くなっていく腕の力
そっか、何を聞けばいいのかわからなかったとかそういうんじゃなくて
森本くんも自分の感情を隠して私に接してくれていたんだ
いつも機嫌がわかりやすい森本くんが我慢するなんて
それだけ悩ませていたんだろうし不安にさせていたんだろう
学校に行っていない期間
一切連絡がなかったのも家に来たりがなかったのも
…きっと森本くんなりにたくさん考えていたからなんだろう
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時