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『こんな一晩中帰ってこないなんて何してたの!』
強い口調とともに掴まれた腕
そのまま部屋のなかへと連れ込まれた
…私が暮らしている部屋なのに
喉まで出かけた言葉を飲み込んで「ごめん」と小さくつぶやく
『まだAは高校生なんだからね』
そんなことを言いながら朝ごはんの準備に取り掛かる母親
目の前にはあちらこちらに散りばめられた母親の荷物が目に入る
昨日までは私ひとりだったこの空間
殺風景だったはずの景色がそうではなくなっていることに
…違和感を覚える
「学校行くからとりあえずシャワー、」
『行かなくていいよ』
「……」
『また帰ってこないとかなられてもお母さん困るから』
「…わかった」
大丈夫、私はひとりじゃない
森本くんがいる
頭のなかで何度もそう唱える
この一種の束縛のようなものから逃れることはできず、
久々に外に出ることができたのはあの夜から一週間が経ってからだった
家に押しかけてきてからの母親の口癖は
“どうせ男なんて”
…きっとあの時の男にも捨てられたんだろう
それで捨てたはずの私を求めてここにやって来て
…そして、そんな母親に捨てられたのは私で
所詮これが血縁のつながりというのだろうか
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時