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森本くんと2人、バイクで一晩中走り回った
空の色が闇の黒と溶け込んで何にも見えない世界
自分たちの声、吐息、バイクを走らせる音以外何も聞こえない世界
私たち以外誰も存在していないかのように感じられるその時間は
今までのどんな時間よりも心地が良かった
どんなに肌寒い風に触れようとも、
それ以上の温もりが私の目の前にあって
遠い向こうに浮かぶ半月を目指してただただ走り続けた
「ねえ?」
『ん?』
走り続けて辿り着いた場所
わざわざ確認しなくたってここがどこかなんてわかっている
立てかけたバイクの上、
空に浮かぶ小さな光を見上げる
「陽が昇ったとき、いなくなってたらどうする?」
『…え?』
「探してくれる?それとも、」
『探す』
「……」
『絶対見つけ出すし、そんなことにならないように離れない』
いつになく真剣な表情の森本くんに小さく笑いが零れる
「…例えばの話なのに」
『へへ、ちょっとムキになっちゃった』
照れくさそうに笑う森本くんが愛おしくて、
精一杯首を伸ばして私からキスをする
「有難うね」
『俺こそ有難うじゃん、Aからキスしてもらって』
「もっかいしたい」
『ん、して』
もう一度自分から唇を重ね、視線が重なれば
引かれあうようにまた唇が触れ合う
やがて彼の舌が私の唇をこじあけるように差し込まれ
甘くて深い時間が流れていった
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時