胡蝶の夢-2- (ページ13)

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いつの間にか森本くんの肩で眠ってしまっていたらしく

顔をあげると優しい目をした森本くんと視線が絡む

『今日はこのまま帰らない？』

「…どっちがいいかな」

帰りたくない、帰りたくない

だけど、そんなこと言えば森本くんに迷惑が掛かる
きっと親御さんが心配するだろうし

それにこっちもこっちで帰らなかったら警察に通報でもされかねない

今更母親ヅラするあの人のことだから、きっとそうに違いない

森本くんは困ったように笑っていて、
こんなこと彼に決めてもらうようなことじゃないかって

私が大人しく家に帰って我慢すれば平和に済む話かって

他人を巻き込もうとしている自分に呆れて冷笑をこぼす

「…帰ろうかな」

『……』

「もう寒いし、温かい布団で寝たくなってきた」

決心して立ち上がれば、つられる様に森本くんも立ち上がった

だけどそのままゆっくり近づいてきて、
真正面から優しく、ぎゅっと抱きしめられる

苦しくて顔をあげようとするけど
それ以上の力で包み込まれているから動かすことはできなくて

『もっと…もっと、俺を頼っていいんだよ』

「……」

『ひとりで抱え込まないでよ』

何度も何度も私の存在を確かめるように頭を撫でる温もりに
自然と涙が溢れていた

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