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慎太郎side
高校入学当時のAの印象は高嶺の花、だった
いつも凛としていて、同い年とは思えないほど大人っぽくて
たまに廊下で見かけたときは目が離せないくらいで
だけどいつも周りの人を蔑むような眼をしていた彼女に対して
冷酷だとか心がない人間だとか、そんな声もあった
…確かに当時の俺にも彼女はそう映った
いつも無表情で、笑った顔なんて見たことなくて
…だけど2年になって、同じクラスになってすぐに気づいた
彼女は殻に籠って自分を守っているだけだって
いつも強がっているように見えて怯えている表情を浮かべていた彼女のことが
気になって仕方なかった、心配で仕方なかった
いつの間にか朝教室に入ってくる彼女の表情、姿を確認するのが日課になっていた
そのせいでたまに視線が交わることもあったり、
けどその度に見せる彼女の表情は、
『…ん、ごめん、寝てた』
「眠いって言ってたもんね、俺の肩寝心地よかった?」
『森本くん、温かいから』
今ではこんなに柔らかい表情を見せるようになってくれた
それは本当に嬉しいけど、
今も変わらず辛い過去を背負っていて
それでいて俺の前ではなんでもないかのように振舞おうとするから
もっと頼ってって、もっと信頼してよって、言いたくなる
Aの我儘なら何だって聞くし、何だって叶えたいよ
ずっとずっといつだってそう思っているのに
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時