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『お疲れ〜!厨房の調子はどうだい』
どんなときでも周りを見ていて、誰にでも声を掛けるいつもの森本くん
やっぱり今私がここにいることは忘れていたのか、
視線が重なると少し首を伸ばして気まずそうな表情を見せる
私も反応に困って目を手元に戻すと、今度は名前を呼ばれた
「…え、なに?」
『あ、えっと、あ、買い出し!買い出しのことで相談したくて』
「うん」
『…あ、っと、時間少し掛かりそうだから別室でいい?
今少しでも高橋さん抜けたら困りそう?』
“大丈夫だよー!”っていう他の人の声
ほとんどの人が何かしらを察したんだろう
森本くんから目配せされて、
距離を置いて歩いたままたどり着いたのは人気の少ない音楽室だった
…どうしてこんなに誤魔化すのがへたくそなんだろうと思うけど
そんな森本くんが愛おしいと思うのも事実で
「どうしたの?」
『聞こえてた…よね』
「…聞いてないよ」
『聞いてんじゃん…』
“あんな流れになると思わなくてマジごめん…”
うなだれるようにしゃがみこんでしまった森本くんももちろん衣装を着ていて
こんなにかっこよかったら一緒に写真撮りたくなるか、って
さっきのことが勝手に思い出されてしまう
「…自分が、自分じゃないみたいなの」
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作者名:ダイア | 作成日時:2023年12月3日 18時