第二十七話 ページ30
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「皆さん、公認旗印が出ました」
次の日、いつも通り教室で過ごしていると、チャイムがなった。
魔村さんの言葉に皆は特に反応を示さない。大方、今回も秀吉くんだと思っているのだろう。
勿論私も、その一人だった。
「旗印提出者は、特進クラスの加藤清正くん」
「加藤くん…!?」
唐突な他の人物の名前にクラス一同は驚きに包まれ、私も含め一気に加藤くんに視線が集まった。
「加藤くんが出した旗印はこちらです」
そう言って切り替わった画面には、くるりと一回転をする加藤くんと彼の書いた旗印が映る。
【3時間以内に豊臣秀吉をケンカで倒す 加藤清正】
「喧嘩…」
秀吉くんがボソリと呟いた声が聞こえて顔を上げれば、強ばった表情の秀吉くんと目が合った。
「加藤は信じなかったんだな、秀吉が強いって話を」
「秀吉が強ぇか弱ぇかなんて関係なかくさ」
「なお、同じ旗印が出ました。合計、56本」
『56本……!!?』
この状況って、この前の武田くんと同じじゃないか。
私が思わず井伊くんを見ると丁度目が合い、私の心情を察したかのように口を開く。
「残念ながら、今回は俺じゃねぇ」
「井伊くんではない?」
「調子に乗った猿に、みんな鬱憤が溜まってんだろうよ」
「たったの56本でゴミ共はここまで騒ぐか。
まあ、56も205も変わらんがなあ」
徳川くんはそう言って立ち上がると、教室から出て行った。
えぇー……行っちゃった。後味が悪すぎる……
お手洗いに行きたくなった私は、彼が出てった後に行くのは少し複雑だが、仕方ないことだと続けて教室を出た。
『秀吉くん、大丈夫?』
やっぱり心配で、座っていた彼に声をかけると、私を見た瞬間にこりと笑って近寄ってきた。
「あーっ!そんなこと言うてくれるなんて、Aちゃん俺のこと」
『そうじゃないよ。ただ…秀吉くんが心配なの』
「…ありがと。でも大丈夫、俺には勝算あるから」
そう言って教室の扉の前まで来て、皆を見る。
…………??どういうことなんだろう。
私には彼の考えていることが分からず、黙って首を傾げた。
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moka(プロフ) - 前田利家さん» コメントありがとうございます🥰💗面白いと言って下さってとてもやる気が出ますし、何より嬉しいです😭✨前田くんとの関わりも今後増やしていけたらいいな〜と思っていますので是非!! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
前田利家 - 小説めっちゃ面白いです。私のおしは前田利家です! (2022年10月14日 14時) (レス) @page5 id: 4149d8455a (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - サナさん» わわっ!!ありがとうございますすぐに直してきます…!私も二人との絡みが欲しいなって思ってたのでこれから色々絡ませられるよう頑張ります!👍✨ (2022年9月29日 9時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 明智くんの、武田くんが、武田うんになってます。上杉との(伊達も!)の絡みが欲しいです。でも、秀吉もいいですよねー。 (2022年9月29日 7時) (レス) @page47 id: cd10ddfe42 (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - コメントありがとうございます〜!私は直ぐ秀吉くんと絡ませてしまう病気にかかっているので凄く嬉しいお言葉.....✨✨️これからも彼と絡むことは多くなりそうです笑 (2022年9月4日 19時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:moka | 作成日時:2022年9月3日 23時