「好きだよ」 (ページ42)

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86話　side-kj/side-dt ページ42

sk「えー！本当？阿部ちゃーん！」
佐久間くんはそう言うと教室の中へ戻っていった。ちなみに、私の涙はもう止まっていた。
dt「良かった。もう涙は止まったみたいだね」
ダテが私の顔を覗きこんで、そう言った。
dt「そのままにしとくと腫れちゃうから、ちゃんと冷やしなね。今から保健室行くのは厳しいかな…」
ダテはスマホを見てそう言った。
dt「次の休み時間に」
nb「康二」
翔太くんに呼ばれてそっちを向くと何かを投げられた。
「っわ！！何や！」
反射で投げられたものをキャッチすると、それは缶タイプの清涼飲料だった。
nb「それで目ぇ冷やしとけ」
「翔太くん…」
いつの間に買いに行ってたんだろう。全く気づかなかった。
dt「そろそろ授業始まるから戻ったほうがいいよ」
「わかった。2人は？」
nb「飯食ったあとの授業はサボり一択だろ」
mm「…舘さんも？」
dt「うん、俺と翔太はいつでも一緒だからね」
mm「そうなんだ…」
dt「じゃあ、俺らはそろそろ行くね。翔太」
「翔太くん、ありがとう！」
nb「おー」
2人はそう言うと廊下を歩いていった。その後ろ姿を見送ると、私たちも教室に戻った。

・
side-dt
康二と目黒と別れて廊下を翔太と2人で歩く。
すでに5限開始のチャイムは鳴ってしまったから、廊下には誰もいない。
お昼ご飯を食べ終わったあとの5限ってすごく眠いよね。隣の翔太は頑張って欠伸を噛み殺してるけど、口がむにゃむにゃしてる。バレバレだよ。かわいいなあ。
…そういえばさっきの康二たちとの会話で気になった部分がある。
「翔太」
nb「んーなに？」
眠いのかぽやぽやしてる。
「康二にあげた飲み物、ほんとは翔太が自分で飲むために買ってたやつでしょ？」
nb「…うん」
だからなんだよ、と小声で翔太が言った。
「それを康二に渡したの、すっごくかっこよかったよ。偉いね」
nb「…何だよ急に」
「恋人がかっこいいって思ったら、かっこいいって本人に伝えるのは当たり前じゃない？」
nb「……」
俺の言葉を聞いた翔太は、ふいと顔を背けてしまった。その顔を覗きこむと赤くなっていた。
「あ、照れてる」
nb「うるさい！」
ばす、と軽い力で腕を殴られた。まるで猫パンチみたい。翔太って猫みたいだよなあ、なんて思ったり。
そう思うと翔太が猫に見えてきて思わずにやついてしまった。
nb「ねえなに笑ってんの」
ムッとした顔で俺を見る翔太もかわいい。
「いや、翔太が可愛いなって思ってね」
nb「なっ！」
更に顔を赤くした翔太。やっぱりかわいいなあ