「好きだよ」 (ページ32)

今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:52,932 hit

77話ページ32

「で、話ってなんなん？」
3人と別れてめめと2人、ゲームセンターの隣にあるカフェで私はそう聞いた。
店内にお客さんは私たちしかいなくて、BGMのジャズが心地いい。

mm「…康二くんのこと、名前で呼びたいと思って」
一瞬頭ん中が真っ白になった。
それって、『康二』って呼びたいってこと？
「そんなん嬉しいにきまってるやん！！」
いつもより大きい声でそう言うと、思いのほか店内に私の声が響いて、カフェのマスターである男性がちらりとこっちを見た。
少し気まずくなって、マスターに一礼をしてからめめに向き直る。
「じゃあ、早速呼んでみて！」
mm「……康二」
好きな人から名前を呼んでもらえるだけで、こんなにも幸せで胸がぎゅんってなるんや。
思わず胸をおさえるとめめに、
mm「…大丈夫？」
と心配された。
「大丈夫大丈夫。めめに名前呼ばれて嬉しくなっただけやで」
mm「…そう」
私がそう言うと、めめはなぜか少しうつむいてそう言った。
mm「で、康二が私に言いたいことってなんなの？」
早速の名前呼びにまた胸がぎゅんってなってしまった。
世のカップルの人たちは毎回好きな人に名前を呼ばれるたびにこんな気持ちになってるのかな。

「ああ。夏休み、めめと2人で色んなとこ遊びに行きたいと思っててな。
…もしめめが良かったら、一緒に遊びに行きませんか…！！」
じっとめめを見つめながらそう言うと、
mm「…いいよ。てかなんで敬語なの？」
くすくすと笑いながらめめはそう言った。
「ほんまに！？」
mm「うん」
「よかったぁ～！断られると思ってたから…」
mm「私が康二のお願い、断るわけないじゃん」
めめのその言葉に目頭が熱くなって、じわりと視界が歪んでいく。
mm「ああ、泣かないでよ康二～」
涙で歪んだ視界に映ったのは、焦った顔をして私の顔を拭うめめだった。