「好きだよ」 (ページ4)

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54話ページ4

めめと弟さんにお別れをして、ラウールと2人で下のコーヒー店に向かっていた。
「ほんとにこの道、人通りないね」
ru「でしょ？」
今、ラウールがめめと会うために使っている廊下を歩いているのだが本当に人がいない。
いなさすぎて逆に立ち入り禁止のところなんじゃないかと思ったり。

すると、ラウールが口を開いた。
ru「康二くんってさ。
めめのこと、好きだよね」
「えっ！？」
ru「康二くんここ一応病院」
いきなりラウールにそう言われてここが病院の廊下だということを一瞬忘れてかなり大きな声で反応してしまった。
「な、なんでそう思うん！？」
なんでラウールにバレてるんだろう…。
ラウールには『めめが好き』なんて一言も言ってないのに…。
ru「わかるんだよ。…大体の言動を見ただけでこの人はこの人のことが好きなんだなあって。
康二くんは感情が顔とか行動にすぐ出るからすっごくわかりやすいよ！」
ラウールはえへへ、と笑ってそう言った。

「え！？じゃあ、あべちゃんたち、ふっかさんたち、翔太くんたちのこともわかってたの！？
皆が誰とくっつくか」
ru「うん。目線とか声の調子、言動とか見てれば大体わかるからね。
でも、皆が付き合うことになったのも1人1人が自分の気持ちに嘘つかないで、その気持ちをしっかり相手に伝えることができたからだよ。
…僕は今まで気持ちに嘘ついて心を押し殺して悲しい思いをしてる人を何人もみてきたから、ふっかさんたちがくっついて本当に良かったと思う！
僕、康二くんのこと応援してるからね！」
「ありがとうラウール！頑張るわ！」

ふと気になったので聞いてみた。
「ラウールは好きな人とかいないの？」
ラウールはうーん、と考えてこう言った。
ru「好きな人、か…。
僕は皆のことが大好きだよ！1番とか決めれないな。
みんなが幸せなら僕も幸せ！」
ラウールはそう言うと私の手をとって走り出した。
「ラウ！ここ病院！」
ru「大丈夫！このルートは滅多に看護師さんとか来ないし人通りもないから、走ってくださいって言ってるようなもんだよ！
早くお店に行かないと佐久間くんたちが待ちくたびれちゃうよ！」
「…実は病院ん中、おもいっきり走ってみたかったんや！」
ラウールにそう返事をすると、2人で誰もいない廊下を駆け抜けた。