「好きだよ」 (ページ23)

今日:2 hit、昨日:24 hit、合計:52,947 hit

70話ページ23

ab「今回の数Ⅱのテスト範囲が3次式の展開から分数式の計算までだから…まず１番最初の3次式の展開から問題解いていこっか」
sk「了解ピーマン！でありまーす！」
ru「わかった！」
「おん！」
mm「…うん」

「…めめ？大丈夫？」
さっきから隣に座ってるめめの手が全然動かない。
問題集1ページ目の大門1の問3で止まってる。
「めめ？」
mm「…康二くん」
「ん？」
mm「…わかんない」

「…具体的にどこがわからないん？」
mm「…全部」
「あー、とりあえず今めめが止まってるこの問題の説明するね。えーっと…え？」
mm「康二くん？」
「…めめ、乗法公式って覚えてる？数Ⅰで習ったやつ」
mm「…乗法公式って何？」
「えっと、(a+b)(a-b)とかを簡単に展開できる公式のこと」
mg「…？？」
あかん、めめの頭の上にはてなマークが見えとる。
これは嘘じゃなくて、ほんとにわかんないんだ。
「めめちょっとノート見してな」
体を横にずらしてめめのノートを見る。

…想像以上や。
めめが解けていた最初の2問の答えは両方とも『1』と書いてあった。
でも、この2問は(x+1)(x-1)と(x+3)(x-2)を展開する問題だから、絶対答えに『x』が入っていないとおかしいのだ。
…多分めめは、あてずっぽうで『1』って書いたんだと思う。
ちなみに3問目は(x+y)(x-y)で、数字が問題に含まれてないから、めめの手が止まったんだと思う。
気づいたらラウールも、あべちゃんも佐久間くんも手を止めてこっちを見ている。

「めめってもしかして…勉強苦手？」

私のその言葉にめめが固まった。
しんと静かになった部屋はまるで時が止まったみたいだ。
しかし。
ru「あはは！めめバレちゃったね！」
ラウールのその声が響いた。
mm「…うるさいラウール」
ru「めめってね、見た目は真面目そうなんだけどほんとは全然勉強できないんだよ」
ラウールが私、あべちゃん、佐久間くんを順番に見てそう言った。
ru「去年は僕が勉強教えてたからなんとか進級できたけど、今年は僕もちょっと危ないから阿部ちゃん先生に頼ったんだよね。
…めめが今日、阿部ちゃん先生に参加したがらなかったのも、3人に馬鹿バレたくなかったからでしょ？」
ラウールがめめにそう聞いた。
mm「…みんな思ってる私の真面目そうって印象を崩したくなくて」

sk「…印象なんてものは自分から崩していくものだよ、めめ」