《続》告る前に振られた。【伏黒恵】

オマエに伝えるために。 ページ6

――「その３！……は、やっぱ今は言いません！」


(なんで、アイツはあの時言わなかったんだろう)


――「今は、多分、言うべき時じゃないと思うから！！」


(言うべきじゃねえって、なんだよ)



――『だからさ、頑張って。恵。』



走馬灯か？

…にしては、謎残し過ぎだな、俺。


(…まだ、やられんなってことなんだろうか)


「どんな存在かって…決まってんだろ…」



俺の隣にいても良いのかと思うほど、良いやつで。



「死ぬに死ねなくさせんじゃねえ…」



自己犠牲の塊の馬鹿で。



(大切でしかない存在だった、守りたい人間だった)



――これが、先生が言っていた、「愛ほど歪んだ呪いはない」ってやつなんだろうか。



なら俺は。


(オマエに呪われ(愛され)てえよ)



どう思っているか、なんて愚問だった。



「…チッ…」



立ち上がった。


ガラガラと音を立て、瓦礫を避けて前へ進んでいく。


さっきまでガタガタだった脚が、驚くぐらいに静かだった。



(もう死なねえ。約束しちまったんだ)


約束すっぽかして逝ったら、怒られる。



「クファアッハハ…！！」


「オニィチャン…」



呪霊がこっちを見て、楽しそうに嗤う。




―――全力出し尽くして、二匹とも殺る。



そんで、アイツらんとこに帰るんだよ。



「ふーっ…」



まだ未完成だとか、関係ねえ。




「―――“領域展開”」




“嵌合暗翳庭”







(オマエに、好きと伝えるために。)

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