《続》告る前に振られた。【伏黒恵】

考えることは一つ ページ5

(クッソ、頭ぶん殴られてクラクラしてくる…っ)


殴られたのか、よくわからないが、先程の後頭部への衝撃が結構キていた。


血がポタポタと垂れてきている。


(あの人はなにやってんだ…一匹くらいは潰してほし――いや、言ってらんねえか、)


回んねえ頭で考えんのはそれじゃねえ。


“どうやってコイツらを殺るか”。


今はそれだけを考えよう。



「アソボ、アソボ…」


「アッハハﾊァﾊｧア！！」



「っるせ…ッ」



遊雲を構え直す。

玉犬と渾も、近くで唸りを上げる。


「ふーっ…」


一つ深呼吸。



――行くぞ、オマエら



ガキィンッ！！ バギｯ ガガッ



やっぱり、硬え。


さっきから、背後を取ろうとしてもすぐに止められてしまう。

後ろからもとらせてくんねえのかよ…！！


そんな俺を見て、嘲笑うようにもう一度高笑いをした呪霊。


……ケタケタ笑いやがって。ムカつくんだよ。



バキッ


「ギィヤァｧウ！！！」


「！？」



突然の奇声が、建物中にビリビリと響く。


声がした方を見れば、渾が傷つけた――呪霊の背中部分に、唯一の傷がついていた。


――背中だけが、硬くない…？


さっきから背中を守っていた理由…


(背中の防御を捨てて、正面の守りに全振りってことか…

背後なら回り込まれても守れるって自信があるってことか？)


回りにくくなっていく頭で、必死に考える。



――グシュッ



「ッ！！」



―――しまった、考えにふけりすぎた。



腹部に強い痛みが走った。


見ると、目の前のコイツの腕が、見事に深く刺さっていた。


「…がふッ…」



(やべえ、)


バキッ！！


鈍い音が鳴り、今しがた刺された部分を蹴飛ばされ、壁に激突する。


ガシャァンッと崩れる音がし、思い切り血を吐いた。


「…かは…っ」


げほげほ、と咳き込む俺を、ソイツらは黙ってみていた。


にやにや笑ってまるで、俺を嘲笑うみたいに。


…アイツは、ガキは？


霞む頭で、そんなことを考えて、視線を巡らせた。



(…いた、)



壁の隅に、うずくまるようにいた。


あのままじゃ、いつか危ねえ。





――「その１！貴方にとってAはどんな存在ですか！？」




(……あれ、)




――「その２！貴方はAをどう思っていますか！？」




なんで今、その質問が出てくんだ？

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