《続》告る前に振られた。【伏黒恵】

漫画的展開すぎ ページ17

『わ、すご…！』



中はきらびやかに光輝いていた。
シャンデリアがまばゆい光をさす中、洋楽に合わせ、男女が踊っている。その様は、まるでシンデレラを連想させる。
というか、この時代に舞踏会？ある意味時代遅れではないだろうか。

という失礼な言葉は飲み込み、目の前を歩く恵たちについていく。
行き着いた先は、富豪らしい風貌をした男性の元。私の想像では、ふくよかで、マナー悪くて、意地悪そうな感じなんだろうなぁと思っていたが、全然違かった。なんなら普通の青年ぽい。
私達を案内してくれた執事らしき人が、「西園寺様」と声をかける。

…今時西園寺？？少女漫画かよ。と言葉が出掛けたが、飲み込んだ。


「おや、五条悟様の代理のお方かな。」

「はい。代理で来ました。伏黒恵と…」

『…かっ、神ヶ原Aですっ』


目線で促されたことで声が上擦る。
だって、アイコンタクトっていう名目上で、恵に見つめてもらえたってことじゃん。しかもアイコンタクトされる仲なんて…！


「改めて、僕はさいおんじゆうや(西園寺佑夜)。父がお金持ちなだけの、ただの男子だ。ぜひ、今夜は楽しんでね。」


…うーむ、少女漫画から出てきたのか、この人。でも、さすが御曹司ってやつだろうか。動きが王子っぽい。


「…いくぞ、A」

『え、ちょっ待ってよ恵ぃ！』


挨拶を済ませ、手早く去っていく恵を追いかける。それと同時に、西園寺が話終わるのをまってましたと言わんばかりに女性達が突撃してくる。


『え、うわぁっ…！？』



もちろん、押し戻される。
やば、思ったよりも人の波えぐすぎ。どんだけ人気なんだよあの人っ！？
手を前に出して頑張って掻き分けるが、恵の姿がほぼ見えない。やばい。
ごったがえしてくる波に完全に進めなくなりそう。




「＿＿＿馬鹿、飲み込まれんな！」

『っ！？』


前に出していた手を捕まれ、思いきり引っ張られる。引っ張られる勢いが強く、いとも簡単に波を抜けた。
その反動で前のめりになるが、コケることはなかった。



「…気をつけろ、迷子になられたら困んだよ」


恵の胸の中にいた。






…えっ？？？

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