Violeta 2

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いよいよ本番。前の評価なんて比にならないほど緊張する。名前を呼ばれて評価を終えて、喜ぶ人悲しむ人、悔しがる人、反応は様々だ。隣に座るマシューはずっと何か言ったり、ため息ばかりついて気が気でないよう。もちろん私も例外でなく、そわそわしてしまう。


皆がどんな思いで、どれだけ練習してきたかを1番近くで感じているからこそ、どうしても結果として出てきてしまうの悲しいけれど、仕方の無いことだ。受け入れるしかない。分かってはいるけれど、酷なシステムだと思う。


仲良い子達も上がったり下がったりで、素直に喜ぶことも出来ず、もどかしい気持ちである。ベネフィットを受けることが出来るかも変わってくるから、みんなで一緒に頑張ってきたぶん、Gグループがラスサビでメインに映りたい。望めば望むほど欲が出てきてしまう。


隣でずっと喋っていたマシューの名前が呼ばれ、頑張ってきてと拳同士をぶつけあう。ぴこぴこと別の部屋へ向かうマシューは、やっぱりどこか緊張した足取りだった。


『マシュー、大丈夫かな』


『マシューならやってのけるでしょ。近くで見てきた俺らが1番わかるよ』


独り言のように呟いた言葉はツーハオに拾われ、私を安心させるかのように肩をポンポンと叩く。ずっと踊り詰めて、歌い続けて、ハンビンと一緒にオールスターにあがりたいと疲れた様子ひとつなくいつものようにふにゃりと笑っていたマシューを思い出して、きっとそうだと思った。


けれど、再評価を終えて帰ってきたマシューはどこか暗い表情で私の隣へと腰かける。遠隔で見ていても上手で目を惹き付けられたのに、どうして、なんて思ったけれど、きっと私以上に彼が思っているだろう。


『Aヌナ、僕緊張しちゃってたみたい、悔しいし、悲しい』


ぽつりと吐き捨てられた悲痛の声と、ぽろぽろと瞳からこぼれ落ちる雫を受け止めることしか私にはできず、そっと頭を優しく撫でる。
同情だとか、励ましだとか何を伝えればいいのかなんて分からなくて、ただ、ひたすらにマシューが落ち着くまで撫で続けた。
こぼれ落ちなくなった涙の代わりに赤くなった瞳のマシューは、頑張るしかないんだけどね、と悲しそうに笑っていた。


笑うのも、同意をするのもどこか違う気がして何も言えなかった。そんな私を見て、Aヌナなら大丈夫だよと、背中を押してくれる。マシューは思っているよりもしっかりしていて、今の私よりもずっと大人っぽく見えた。


瞬間、私の名前が呼ばれる。

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