INNOCENT DAYS ３

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新しい年になってからも、高嗣のお仕事はますます忙しくて。






逢えない日が長く続いて、淋しさを感じることもあったけど……私もこのところ少し忙しくなってきた。


木崎さんからの勧めで、ピアノコンクールに出ることを決めたから。





本来いつもは「音楽は、人と比べたり点数をつけるものではない」って言ってる木崎さんからの意外な勧め。


「俺だって完璧な指導やドバイスが出来るわけじゃない。今まで気付けなかった改善点や、違った魅力を見つけられるって事もある。」
って言われて。




でも私自身、もうこういう事には縁がないと思っていたし、やっぱり不安の方が大きくて……初めはなかなか決心できずにいたけど。








何だか高嗣に意見を聞いてみたくなって……。


久しぶりに逢えた日、朝食を食べ終える頃に何気なく聞いてみた。




いつも前向きに頑張ってる彼なら、何て言うんだろ？




「その、、、俺さ……コンクールとか、ピアノの事はよくわかんないからアレだけど………Aちゃんの弾くピアノ、好きだよ。」


そんな言葉だけで、気持ちがフッと軽くなった。




「今………せっかく前向きにピアノの事頑張れてんなら、挑戦してみたらいいのに。


　俺さ、自分の事だけど……やらないで後悔するよりは、失敗したとしてもチャレンジしてみた方がいいって、いつも思ってる。」



「うん。」



ああ……そうだよね、そうだったよね。


高嗣はいつだって、前を向いてる。


進むか進まないではなくて、最初から進んだ先でどうするかを考えてるような人。





何だか背中を押してもらった気分。






だけど、もしかしたら私は……初めから高嗣がそう言うってわかっていて聞いてみたのかもしれない。



今まであんまり人に頼る事をせずに、いろんな事を自分で決めてきたけど。



ホントは不安で自信がなくて……なかなか1歩を踏み出すことが出来ないこんな時、こうやって私の事を導いてくれる人に出逢えた。




ずっと誰かに甘えることが苦手だったのに、そんな私の心をいとも簡単に開いた人………。




何だか恥ずかしくて……でも幸せ。




朝から溢れだしてくる「大好き」の気持ちの持って行き場がわからなくなって、ちょっと戸惑う///。





「ね、朝からそんな顔して………俺の事、誘ってんの？(笑)」



「え///？」



そんな顔って……私、今どんな顔してるの？





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