INNOCENT DAYS ３

＊125 ページ28

.



私も仕事とコンクールに向けての練習は大変だけど、頑張ってる高嗣からいつだって元気をもらってる。



何のためにピアノを弾いているのか………迷路に迷い込んだみたいにわからなくなって悩んでた毎日が嘘のように、、

今は「好きだから」っていう一言で、ピアノに向かえてる。



絡み合った糸が解けて、一本の真っ直ぐな線になったみたい。



そんなシンプルな答えに導いてくれたのは、、、もちろん高嗣の存在。



彼の素直さや純粋な心が、私に大切なものを気付かせてくれた。






目の前まで近付いてきたコンクール本選に、徐々に緊張感も高まる日々だけど、


彼を想うといつも…どんなことでも頑張れそうな気がしてくる。






.






“すっげー見に行きたい！”



“仕事だし、仕方ないよ”



“うん、ごめん”
“あとで絶対ビデオみせてよ！”



“っていうか、高嗣が来たら会場パニックになっちゃう笑”



“いや、たぶんならない。。。”

その後の泣いてる顔文字が可愛い。



“私も頑張るから、高嗣もお仕事頑張ってね！”



“うん、Aちゃんもね！”
“応援してるから！”

そして「ガンバレ」と「おやすみ」のスタンプ。







さっきまで続いていたそんな高嗣とのメッセージのやり取りを、ベッドの中で何度も眺める。



仕事だから来れないっていうより、万が一高嗣が突然ピアノコンクールの会場にいることが周りに見つかったら、きっと騒がれちゃうからね。



でも、気に掛けてくれてありがとう。





いよいよコンクールを明日に控えて、今日は早く寝ようっていつもよりだいぶ早目にベットに入ったけど、やっぱり緊張してるのか、、、さっきから全然眠れない。



時計を見ると、ちょうど午前0時を過ぎたところ。



ベッドから抜け出して、キッチンへ。



冷蔵庫のミネラルウォーターを一口飲む。



リビングのカーテンを少しだけ開けて、夜空をぼんやりと眺めてみる。



今夜は月は出ていないけど、少しだけ星が見えてる。



明日は、ちゃんと弾けますように。



そんなことを星に願いながら、頭の中に浮かんでくるのは高嗣の笑顔。



逢いたいな。







ベッドに戻って、思わず

“眠れない。”


って一言だけメッセージを送ってしまった。




こんなわがままなメール、ゴメンね。


送ってからドキドキしてしまって、取り消したい位。





だけど、、、


メッセージはすぐに既読になって、返信の代りに、、、鳴り出した着信音。




.

＊126〜Side:2→←＊124

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す