INNOCENT DAYS ３

＊123 ページ26

.



約1年ぶりに、ライブにも行った。



初めてステージに立つ高嗣を見た1年前みたいな不安定な気持ちじゃなくて、純粋に楽しめた………と思う。



団扇もペンライトも、もう抵抗なかったし…笑



歌って踊る高嗣はやっぱりカッコよくて、、、眩しかった。





去年同様、一緒に行ってくれたのはちいちゃん。


以前、音大時代の仲間との飲み会に高嗣が私のことを迎えに来たのをちいちゃんが気付いてから、、、彼女はさらりと全部を察して、今では私の大事な理解者で相談者。


高嗣と私の事を、そっと見守っていてくれてる。





家に戻ってもライブの余韻が抜けなくて、ずっと胸の高鳴りが押さえられないのは、去年と一緒。


そして、歓声を浴びてキラキラ輝いてる高嗣を見て、ホントはちょっとだけ胸がチクっとしたのも去年と一緒、、、。



たくさんの人から愛されていることを肌で感じてしまうと、やっぱり高嗣がすごく遠い人みたいに思えるから。



ライブで逢ったばかりなのに、もう逢いたくなってるのも去年と一緒だし…笑。



こんな気持ちになるのなら、高嗣の家に逢いに行けばよかったかな？



でも忙しそうだし、、こんな子供みたいな嫉妬心を知られたくないし。





突然鳴ったインターホン。


こんな時間に訪ねてくるのは、、、彼しかいない。


ドアを開けると、キャップを目深に被った高嗣。



「起きてた？」


「うん、大丈夫、、、 珍しい………ね。突然来るなんて。何かあった？」


「なんかないと、逢いに来ちゃダメ？」


「そういう訳じゃなくて///。」



確かこんなやりとりも、去年と一緒。


高嗣もちょっと笑ってる。



「そーいう気分だったから。」


「そういう気分？」



急にギュって私を引き寄せて、少し強引に重ねられた唇。



「逢いたくなったから、逢いに来ただけ。」



耳元で低く響く、高嗣の声。


高嗣の匂い。甘い温もり。



「私も、、、逢いたかった。」


1年前のデジャブみたいな夏の夜。






「Aちゃんが淋しがってると思って逢いに来てやった。」


「嘘！逢いたくなったから来たって言ったし。」


「Aちゃんだって逢いたかったくせに！」


「…それは//。」


「てか、だったらうち来てよ、もう！何のための合鍵？」



さっきまでの甘い雰囲気はどこかに消えて、こんな風に言いたいことが言い合えるのは、、、、今の私達、だから。





……高嗣が遠い人なんかじゃないって感じさせてくれて、ありがとう。



.

＊124→←＊122

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す