INNOCENT DAYS ３

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ピアノ教室の仕事を終える。



今日最後の生徒さんは、橘さんという60代の女性。



小学生のお孫さんが最近ピアノを初めて、いつか一緒に連弾がしたいから昔ほんの少しだけ習ったことのあるピアノをまた始めてみたいと、体験レッスンにやってきたのは先月のこと。


最初は不安そうだったけれど、すぐに「楽しい」って言って、教室に通うことを決めてくれた。






ラウンジの仕事は、コンクールが終わるまでの間お休みさせてもらうことにしたけど、生活のためには仕事もしなくちゃいけない。



でも、この大人のためのピアノ教室の仕事は楽しいし順調。




生徒さんは様々で、子育てを終えた主婦や定年退職後に趣味を持ちたいと始めた方、教員免許取得のためにレッスンに来る大学生。

どんな事情があるかまでは聞かないけれど「どうしても弾きたい思い出の曲がある」って習いに来た、私と同世代のOLさんもいる。


橘さんも、一念発起してレッスンをスタートさせてからはとてもよく頑張っていて、課題を進めるスピードも速い。

きっと近い将来、お孫さんとの連弾も見れそう。





ピアノを通して、その人の人生を垣間見る。


そして、ほんの少しの手助けが出来るこの仕事が、好きだなって思う。





レッスンの仕事を終えてからは、コンクールに向けてのレッスンの時間。


スタジオの仕事に出ている木崎さんが戻ってくるまでにはあと1時間はあるから、楽譜を広げてそれまで自主練。




ファイナル本戦に向けて選んだ課題曲は、ラフマニノフのピアノソナタ第2番。


荘厳でドラマチックな曲の展開がラフマニノフらしい大曲で、弾きこなすにはその雄大さにプラスして繊細さも必要になるバランスの大事な曲。


奥深くて美しいけれど、、、複雑でかなりの難曲だ。





本選までそんなに時間はないから、1分1秒を無駄にしないようにピアノに向かう。






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そんな毎日が、ものすごいスピードで過ぎていく。



この夏は天候不順で、雨ばかり降っていたように思う。



でも、真夏らしくよく晴れた日には、眩しく降り注ぐ太陽の光を感じると高嗣の向日葵みたいな笑顔を思い出して、やっぱり………………逢いたくなった。





高嗣は今、夏のツアー真っ只中。


それに加えて複数の仕事をこなす多忙な日々。


アイドルの仕事ってすごいんだな、って改めて思う。





だから私も頑張らなくっちゃって、、、逢えない淋しさを紛らわせて、何とかエネルギーに変える。



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