INNOCENT DAYS ３

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目が覚めたら、もうAちゃんは腕の中にいなかった。


まだぼんやりする頭で、Aちゃんの気配を探す。







複雑な気持ちを抱えて迎えた新年。



でも年が明けてから、新曲のキャンペーンや撮影、レコーディングなんかが続いて忙しくて……目の前の仕事をこなしながら、やっぱり俺はこの仕事が好きで、自分は自分の信じた道をとにかく進んでいくしかないんだって、強く感じた。




あれから久しぶりに少し時間が出来て、Aちゃんが来てくれて、、、ホッとする時間を過ごせた。




ベッドの中の残り香と………甘い夜の余韻。


Aちゃんを抱きしめながら、何だか安心して久しぶりにぐっすり眠れた。



自分でも知らないうちに、いつの間にかここ最近………気持ちがずっと張り詰めっぱなしだったことに気付かされた。



今は抜け殻になった空っぽの腕の中がなんか淋しいから、まだボーっとした頭で寝室を出る。





ドアを開けると、香って来るお味噌汁と焼き魚のいい匂い。


普段、朝ご飯は食べないから「いらないよ。」って言っても、いつも用意してくれる俺好みの和朝食。


なんかいいね、こーゆーの。




キッチンに立つAちゃんに


「おはよ。」


って声を掛けた。


自分でもびっくりするくらい低くて掠れた声しか出なかったけど。


振り返ってにっこり笑って「おはよ。」って返事してくれるAちゃんに引き寄せられる様に近付くと、そのまま後ろからギュってハグした。



「ねむい………。」


「フフ……もう少し寝てても良かったのに。あとちょっとで出来るから、いーこで待ってて？」


「ムリ………俺いーこじゃないから待てないし。」


まだ眠くって、目を瞑ったままそう言いながらAちゃんの首元に顔を寄せる。


Aちゃんの匂いを感じて、どっかホッとする俺。




「もう………くすぐったいよ！」


そう言うAちゃんの耳が赤い。


その頬にそっとキスする。




未だにこんなことぐらいで照れてるから可愛くて………いつかのあの番組みたいに、も一度ベットに引きずり込みたくなるわ………や、しないけど(笑)









いい感じにふっくら焼けてるアジの開きに箸を通す。


朝食を食べながら、やっと少しずつ目が覚めてくる。





「あのね………。」


「ん？」



Aちゃんが不意に話し出す。


「私、、、木崎さんからまたピアノのコンクールに出てみないか？って言われてるの。」




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