INNOCENT DAYS ３

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とりあえず、買い物してきた飲み物や食材を冷蔵庫に入れる。



コンクールが終わって高嗣に送った、今日の結果を知らせるメッセージ。



まだ既読は付いてない。





主がいない部屋のものを勝手に使っていいのか、ちょっと迷うけど………“先にお風呂済ませて、くつろいでて〜”って言われてるから、そのお言葉に甘える。



シャワーを浴びると、今日ずっと続いていた緊張が温かい湯気に流されて行くみたい。



長かった一日………。



何だかもう…ちょっと前のことみたいに感じる。





さっぱりして体も温まって………やっと気持ちがリラックスできたのか、ドライヤーで髪を乾かしてると眠気が襲ってくる。



何時かな？ってスマホを確認すると、いつの間にかメッセージを知らせる点滅。



タップして開けば「おめでとう!!!」の派手なスタンプと、“あと少しで帰るから”のメッセージ。



一瞬で目が覚めた(笑)






髪を乾かしたら、何だか手持無沙汰になって………簡単なおつまみでも作ろうとキッチンに立つ。



ピアニストの中には、包丁でケガをしたり火傷しないようにお料理をしない人は結構いる。



でも私の母は特にそんなことは気にせずに、いろんな料理のレシピを教えてくれた。



ピアノばかりの毎日でも、母なりにわたしを普通の女の子として育てようとしてくれてたのかもしれない。




それに一人暮らしで必要に迫られての自炊だったけど、案外お料理は頭の中がリセットできていい気分転換になることに気付いてからは、料理することが好きになった。



いつの間にか身に着くよう教えてくれた、亡き母に感謝する。






すると、ドアの開く音がして



「ただいまー。」って、ちょっとハスキーな声が聞こえた。



「おかえりなさい…///。」



急いで玄関に向かうと、そこには逢いたかった笑顔。



「フフ………Aちゃんがいる//。」



お互い、いつもと違うシチュエーションが何だか照れくさい。



玄関に荷物を置いて、キャップを外すと



「………A///。」



不意打ちの呼び捨て。



ドキッとする私に微笑んで長い腕を広げると、ギューって私をその中に包み込んだ。




「ただいま。」



「……おかえりなさい///」



「さっきも言ったっけ。」



「うん。笑」



「じゃあ、、、えっと、今日はおめでと。」



「フフ、ありがと。高嗣もお疲れ様。」



外の空気を纏った高嗣の匂い。



腕の中で安心して、幸せを感じる一瞬。




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