INNOCENT DAYS ３

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「気持ちのこもったいい演奏だったよ。


表現力が驚く程伸びたし………………1つ殻を破れたね。」



木崎さんからの言葉。


素直に嬉しかった。



「ありがとうございます。木崎さんの指導のおかげです。」



本来ならば音大を離れた私にとって、もう誰かに師事してこんな機会を作ってもらえるなんて考えられない事。



仕事をもらって、さらに指導もして頂けて。



木崎さんには、いつも感謝しかない。





「全部、Aちゃんの努力だよ。あ、、、あとAちゃんのピアノを変えた、誰かさんのおかげかな？」


そう言って、木崎さんが笑った。



「え、それは…………………///」



思わず答えに詰まる。



木崎さんは大人だから、それ以上は何も言わず笑ってる。






…………今1番逢いたい人の顔が浮かぶ。


早く今日の結果を伝えたい。





「というか、これからが本番なんだから。


今日はゆっくり休んで、また本戦に向けてビシビシいくからな。」



「はい。木崎先生、よろしくお願いします！(笑)」




身が引き締まる。



胸元のネックレスに、無意識に手が伸びる。



そういえば、ダイヤモンドは“持ち主の心を強くする”って言ってたはず。






ありがとう。



高嗣のおかげで頑張れたよ。




………………早く伝えたくて、逢いたくてたまらない。








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会場を後にして、家路を急ぐ。




家に帰ってから、荷物の整理をしたりしてもう一度出かける準備をする。



コンクールを終えて疲れてるはずなのに、気持ちが昂ったままだからか、全然疲れを感じない。



そして………貰ってから1度も使うことのなかったあの“合鍵”を手にして、バッグに入れる。



今日は、地方公演から帰って来る高嗣から“遅くなるけど、部屋で待ってて”って言われてるから。









途中、少しだけ買い物をしてマンションに向かう。



もう何度も来てるはずなのに、高嗣のいない部屋の1人で入るのはもちろん初めてで、やっぱり緊張する。





ロックを解除してドアを開けると、玄関先に私がいつも使ってるスリッパがすでに用意されていて、出掛ける前にそんな気遣いをしてくれてる事が嬉しくて、緊張が少し緩む。



誰もいないことはわかってるけど、何となく「お邪魔します。」って言いながら部屋に入って明かりを点ける。




相変わらずキレイにしてる部屋。



広がる香りに、いるはずのない高嗣の気配を感じて………ドキドキした。




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