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Side Miyata




玉が目覚めた。


顔色は最悪だけど、なんとか起き上がって話せるくらいにはなってた。





「具合どう?大丈夫?」


「あ…思い出した……」






まだボーッとするのか返答がかなりゆっくりで、


そんな様子を見るのがいたたまれない。





ここ最近の玉はいつ見ても辛そうで、


顔色も悪くて、どんどん痩せていって。






……本当に、怖かったんだ。


玉を失うのが、何よりも怖い。






あの日から俺達は全く話してもいなくて、


考えてもなぜ玉があんな風に逃げたのかもわからなくて、


北山さんと何を話してるのかもわからない。







その喪失感があまりにも辛くて、大きすぎて、


もう耐えられないんだ。


だから言った。






「……玉、愛してる」


「………」





青白い玉は辛そうに顔を歪めて、涙を何粒もこぼした。


でも、俺知ってるんだ。






「それに玉も、俺のこと愛してるよ」


「……っ」






さらに見開いた目から落ちた涙。


玉の全ての動きが止まった。






「…だから、何がそんなに玉を苦しめてるのか、教えてほしい」


「なんで、いつも自分で自分を苦しめないといけないのか」






あの日もそうだった。


玉は俺の言葉の続きを知っていて、


それを受け入れる事は容易なはずだった。






それなのに俺を遮り、


本当は聞きたかった言葉や、本当は欲しかった未来を捨てて逃げたんだ。




……そしてそれは多分、


そうしないといけなかったから。


そうしないと壊れてしまいそうだったから。








「やぁだぁ…みや……キスして…」







いつも酔うと泣きながら俺にキスしてた玉を思い出す。






酔っぱらった時にしか、自分の本音を言えないところ。


本当はずっと寂しくて、誰かに甘えたくて、


でもお酒を飲むことでしかそれを表に出せないところ。







最初はキスできれば誰でもいいのかと思ってた。


でも一緒に色んな飲み会に行って、


色んな人と会って、その度でもいつも。








玉がキスしたいのは俺だけだった。







アルコールがないと自分の願いを叶えられない玉。


しらふの時はいつも自分を抑えてるんだって、


俺だけが知ってるんだ。







だから。






「…玉。俺に甘えて」


「やりたいこと、なんでも俺に言って」


「絶対、寂しい思いなんかさせない」


「だからもう、……何も我慢しないでほしい」







玉の目からはまたたくさんの涙が落ちていた。

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設定タグ:Kis-My-Ft2 , 宮玉 , ノンリアル   
作品ジャンル:タレント
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ほか - 最新話まで一気に読ませていただきました(^^)りんごさんのペースでよいので是非この先を更新してほしいです!楽しみにしております! (2021年9月4日 21時) (レス) id: d8f5e0d33c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» まだ読んでいただけたなんて!嬉しいです…本当にありがとうございます! (2020年10月3日 23時) (レス) id: b136585c56 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさん、更新ありがとうございます!ここは更新されるたびに楽しみに読ませて頂いています!この先…ミヤは裕太を守って欲しいですね。更新のんびりゆっくりお待ちしていますね。 (2020年9月11日 4時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» 返信してなくてごめんなさい、ありがとうございます! (2019年7月26日 18時) (レス) id: f95f9b47d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさんこんばんは。ちゃんと読んでいますよ!お待ちしてましたから。大丈夫です、私ものんびりしてますから〜。やっとみっくんから解放された玉ちゃん…みやっちとうまくいくといいんですが…。まったりとお待ちしてます。 (2019年1月17日 21時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんご | 作成日時:2017年4月22日 18時

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