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Side Miyata
今日も玉とキスをした。
……もう馴染みになった玉のくちびる。
玉の好きなキスの仕方も分かってきた。
でも玉は、それを知らない。
酔っ払って潰れると必ず俺にキスを求めてることを、本人は知らない。
俺もあえて言わない。
初めてのキスの時はもう脳内パニックで凄かったけど、
二回目も三回目も同じことされて、
こいつはキス魔なんだと割り切ったら全然へっちゃらになった。
「みやぁーーもっとぉ」
「だーめ。玉」
玉は1回じゃ満足しなくなっていった。
それはもう、飲みに行って潰れる回数と比例して毎回要求する回数が増えていく。
この前なんかついにディープなやつを……///
「違うもん裕太だもん」
「じゃあゆうくん?もうキスはしないよ?」
玉は必ず俺に甘えてくる。
この前試してみようと思って昼間にゆうくんなんて呼んだらぶっ飛ばされた。
……なのに!
酔っ払った時は必ずゆうくん!
…もう誰だよお前!
いつもの玉はなんなんだよ!
っていうのも思う。
思う、けど。
人って酔っ払った時こそ本性じゃない?
「やぁだぁ。みや……キスして……」
「ゆうくん」
「おねがい……っ……んぅぅ……」
うっすら目に涙の膜を張りながら玉が腰に抱きついてくる。
その表情に敗北を認めた俺は、2回目のキスをしてやる。
……きっと玉は普段甘えたいけど甘えられないんだ。
辛いことあっても絶対言えないし、言わない。
酔わないと言えないんだ。
……それを受け止めるために、俺はいる。
キスを重ねる度に、
玉を胸に抱く度に、
俺の中を占める玉が大きくなる。
……いつしか俺は、
玉のことを好きになっていた。
俺、自覚はなかったけどバイだったっぽい。
……でも、
多分気持ちを伝えることはしないと思う。
気持ちを伝えてしまったら、
きっと玉は俺と距離を取るようになる。
もし万が一玉が俺のことを好きだったとしても、
たぶん玉は俺とは付き合わない。
……それはなんでかって言われたら、
なんも根拠はないけどさ。
でもなんか、そんな気がするんだよね。
……もしそうなっちゃったら、
玉は俺に甘えることはなくなる。
そんなの嫌だ。
玉が甘えてくる時間、
玉と秘密にキスをする時間。
今の俺にとって、こんなに大事なものはない。
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ほか - 最新話まで一気に読ませていただきました(^^)りんごさんのペースでよいので是非この先を更新してほしいです!楽しみにしております! (2021年9月4日 21時) (レス) id: d8f5e0d33c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» まだ読んでいただけたなんて!嬉しいです…本当にありがとうございます! (2020年10月3日 23時) (レス) id: b136585c56 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさん、更新ありがとうございます!ここは更新されるたびに楽しみに読ませて頂いています!この先…ミヤは裕太を守って欲しいですね。更新のんびりゆっくりお待ちしていますね。 (2020年9月11日 4時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» 返信してなくてごめんなさい、ありがとうございます! (2019年7月26日 18時) (レス) id: f95f9b47d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさんこんばんは。ちゃんと読んでいますよ!お待ちしてましたから。大丈夫です、私ものんびりしてますから〜。やっとみっくんから解放された玉ちゃん…みやっちとうまくいくといいんですが…。まったりとお待ちしてます。 (2019年1月17日 21時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2017年4月22日 18時