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14* ページ15

Side Tamamori





死ぬその日まで、父さんは至極普通にいつも通りに生きてた。


なんも変わらず、朝起きて風呂入って。





「裕太、ユウト、行ってくるな」


「母さんも」





まだ寝起きでぼーっとしてた俺たち兄弟にそう言って、ポンポンと軽く頭を叩いて、


そう言って父さんは会社に行った。





そのいつも通りの幸せに酔って、俺はなんにも気付けなかった……







父さんはその日の夜遅く帰ってきて。


俺もユウトも母さんも寝てたから気付かなかった。






しばらくして目が覚めて、夜中に俺が父さんの部屋に入ったら、


……俺が部活で使ってた縄跳びの縄を使って、首を吊ってる俺の父親を見つけた。






何も考えられなかった。


父さんと自 殺なんて全く結び付けられなかった。





でも俺の目は、俺の縄が使われてるっていうことだけは見えてた。






ただただ怖くて、声も上げられなくて。





足が、膝が、体がガクガク震えてた。


ドアの取っ手に手をかけることすらままならない程に手も震えてた。






這うようにして母さんのところに行って、


そこからの記憶は、父さんの葬式の直前まで全くない。







あれから10年近くたった今でも、父さんのあの異常な死に姿を、風邪ひいた時とかに夢に見てゾッとする。






……だってあの縄は、俺が、あの部屋に置き忘れたものだ。






医者には、

「突発的に心理的に追い詰められての結果」

って言われた。






俺があんなところに縄なんか置いといたから。


俺が父さんに「おかえり」って言えなかったから。


自分は幸せだったから。





父さんの心が壊れてるのに気が付かなかった。







……俺の縄が使われてたことで、


それから俺は母さんにもユウトにも凄い目で見られるようになった。






でもそれはいくら謝っても赦してもらえるものでもなくて、


俺自身、罪悪感に押し潰されそうで。






血を分けてるはずの家族から犯罪者のように見られることで、


俺は自分を赦したかった。







……でも無理だった。


だからファントムになった。






父さんと同じ苦しみを味わって、


その上で会社を潰したいと思った。








だから俺は、


全てが終わるまで、俺が俺を赦せるようになるまで、


大事なものは作らないって決めたんだ。

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設定タグ:Kis-My-Ft2 , 宮玉 , ノンリアル   
作品ジャンル:タレント
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ほか - 最新話まで一気に読ませていただきました(^^)りんごさんのペースでよいので是非この先を更新してほしいです!楽しみにしております! (2021年9月4日 21時) (レス) id: d8f5e0d33c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» まだ読んでいただけたなんて!嬉しいです…本当にありがとうございます! (2020年10月3日 23時) (レス) id: b136585c56 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさん、更新ありがとうございます!ここは更新されるたびに楽しみに読ませて頂いています!この先…ミヤは裕太を守って欲しいですね。更新のんびりゆっくりお待ちしていますね。 (2020年9月11日 4時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» 返信してなくてごめんなさい、ありがとうございます! (2019年7月26日 18時) (レス) id: f95f9b47d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさんこんばんは。ちゃんと読んでいますよ!お待ちしてましたから。大丈夫です、私ものんびりしてますから〜。やっとみっくんから解放された玉ちゃん…みやっちとうまくいくといいんですが…。まったりとお待ちしてます。 (2019年1月17日 21時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんご | 作成日時:2017年4月22日 18時

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