Phantom of the Office

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Side Tamamori






俺の部屋で宮田と目覚めてから１ヶ月。


この１ヶ月の間にもうすでに宮田がうちに何回泊まったかわかんない。





あれからも結構な頻度で2人で飲みに行って、


そうすると毎回宮田だからいっかって思って潰れちゃう。





毎回毎回飽きもせず宮田は俺を家まで送り届けてくれて、


そんでちゃっかり自分も俺んちに泊まる。






……朝目を覚まして、

床に転がってる宮田を見るたびに布団くらいなら買おっかなって思う。



実際、弟が父さんのインテリアを壊したショックなんて癒えてるし問題ないんだ。






でもなんか、俺は、


……自分にとって大事なものを作ってはいけない気がする。






父さんの家具の時だってそうだったし、なんでもそうだ。


大切なものなんか作ってもいつか壊れる。絶対になくなるときが来る。





……あの時から、あんなに仲良しだった俺たちの家族はバラバラになった。




弟のユウトは、話せば分かってくれるって思ってたけどだめだった。





「いつか全てのものはなくなる」


「家族だって簡単にバラバラになる」


「人は、簡単に壊れる」





だから、俺はそれを悟ったんだ。






それに加えて今の俺はファントムだ。


自ら望んでファントムになった。






いつか今の会社を壊して、父さんの、母さんの、ユウトの仇を打つ。






……それを果たすまでは、



大事なものなんか作れない。

大切な人なんか作っちゃいけない。






きっと、そんなの作っても、


ファントムである俺のせいでみんな壊れてく。






……あの時みたいに、


家族のために壊れた父さんみたいに。






……そんなの、耐えられるわけ、ないだろ？







例えば宮田が。


俺と仲良くなったせいでファントムの疑惑でもかけられたら。


吉田さんみたいに欝になっちゃったら。






……もうそしたら俺は生きていけない。


自分の存在のせいで、また人を壊しただなんて。


父さんだけじゃない。宮田まで。






……俺は父さんが大好きだった。


いつも楽しそうで、明るくて、なのにそんな父さんは、家族の生活を守るために死んでいった。






……父さんと最後に話したのは俺で、死体を見つけたのも俺だ。







あの時何もできなかった。


ただ分かったのは、父さんを仕事に縛り付けたのは俺ら家族だってこと。







……そして、特に俺さえいなければ父さんは死なずに済んだってこと。

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