動物図鑑�� 咆哮するライオン-赤- ページ31
動物図鑑�� 咆哮するライオン−赤−
〇sideA
副業の夜のお仕事の帰り道。
気分は最悪。
普段はしがない会社員だけれども、週末の夜は叔母の経営しているスナックを手伝いに行く。
身内の店とは言え水商売に変わりはないしあんまり大っぴらに「ホステスしてます」とは言いにくいけれども、そこは常連さんもみんな気のいい人たちばかりの優良な店だった。
私の事もホステスとかキャストとかいうよりは娘みたいにかわいがって甘やかしてくれて、タダでお酒も飲めてお給料ももらえて、私の癒しの場。
日中は『いい人』の仮面を外せなくてストレスが溜まるけれど、夜の仕事の間私は“A”という源氏名の別の女になる。
軽くて調子が良くて、ニコニコ笑っていればちやほやされて、ちょっとくらいハメを外しても余裕の女。
だから、隙があったのかもしれないけど
初めて店に来た話の面白くない客(名前も覚えてない)にやたら酒を勧められるな、と思っていたら、なんと店の前で待ち伏せされていた。
唐突につかまれる手。
一瞬で肝が冷えて動けなくなった。このまま路地裏にでも連れ込まれたらまずいと思って急いで言う。
「お客さん、どうしたの?忘れ物？」
「連絡先教えてくれない？」
「そういうのはママに怒られるから。急いでるので失礼します。また来てくださいね」
「家まで送るよ」
「いえ、大丈夫です」
しつこい男ってホントに最悪。
何を勘違いしてるのか知らないけど、ニヤニヤしながら後ろをついてきた。
気持ち悪い。
一定の距離を保って後ろから聞こえる足音に、体が震える。
巻いてやろうと思ってダッシュして住宅街の路地裏に入り込んだら、そこによく見ないとわからない小さな店のあかりが灯っている。
“THE EIGHT”
こんなところにお店があるなんて知らなかった。
見たところbarみたいだけど。なんだか直視してはいけないような薄暗い雰囲気を醸し出している。
そこで思わず足が止まったのは、しつこい男を巻くために身を隠せるところを探していたせいもあるけど、扉の内側からきれいなハミングが聞こえたから。
なんだろう、ずっとずっと聞いていたくなるような儚い、でも芯の通った声で
―――もっと近くで、その声を聴きたい
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きりん虫(プロフ) - こあさん» こあさんコメントありがとうございます！来て欲しいけど考えてる事がダダ漏れてたら私は死にますw短編なのに長し！ (2020年10月25日 10時) (
レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - いつもお話ありがとうございます。律儀に突っ込むジョニーが優しい。わたしも神様とお話ししたい(笑)来ないかなぁ (2020年10月25日 4時) (レス) id: 2691bf805d (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - You∞さん» アーセナルはライオン一択でした！長髪の赤さんビジュが最高！最強！ (2020年10月6日 19時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
You∞(プロフ) - アーセナル…！ライオンを歌う彼の姿を思い出しました…ありがとう…。彼にはやっぱり、歌う姿が似合うのよ…しかもライオン…いかん鼻血が←（テンション高くお届けいたしております） (2020年10月6日 15時) (レス) id: ef0b5894b5 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ヨダレパシフィックw w妄想ありアマグランデでした (2020年10月5日 18時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年7月6日 21時
