日日是好日 2

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「責任者を呼べ！」


その日大声で怒鳴りながら会社に乗り込んできたのは取引先の偉い人。


間の悪いことに会社には私たちしかいなかった。


私と、社長代理。


何か不手際があったのは確実だけれど、怒った人の口から出た言葉では事情はよく飲み込めなかった。

どうやら発注ミスみたいだけど。


社長室の中で右往左往している社長代理に出てこないように合図をして、招かれざるお客様に営業用の笑顔を向ける。


「確認して参りますのでお待ちください」


断って事務所の外に出て職長に電話で事情を伝えると、職長は急いで謝りに戻る、と言った。

職長は職人気質の頑固なおじさん。現場の人たちはみんなそんな感じなので、今までは取引先とのやり取りは波風が立たないように社長が間に入っていた。

案の定職長は大事な連絡を忘れていたらしい。



この場を一体どうしてくれるんだ。



とりあえず何とか間をつなぐしかないか、と思って暗澹たる気持ちで事務所のドアを開けると



怒っていたお客様は、社長室の中。



そしてその向かい側の応接用のソファに座ってニコニコしている丸山社長代理。




おわった…。







お茶を入れて、お客様の会社の資料と職長が来る旨を書いたメモをもって、ノックして社長室に入る。



丸「ありがとう。任せて？」


こんな状況なのに満面の笑みの社長代理に見とれていたら、電話が鳴ったので後ろ髪をひかれながらその場を辞す。


どうしよう、職長早く来てー。






15分後、職長が息を切らして事務所に戻ってきたときには、事態は一変していた。

笑い声が聞こえる社長室を恐ろしそうな顔で見やって、「どうなってんの、あれ」と私に聞いてきた職長。



私が聞きたい。

何かミラクルが起こったんでしょうよ。






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