日日是好日 2

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「村上君、あーんして」


村「あーん？」


突然の言葉にびっくりしたようにぽかんと開いた口の中にお菓子を放り込む。

村上君は漫画みたいに目を白黒させてあわてて起き上がった。



村「んがッ、あぶない！寝てるとこに投げたらのど詰まるわ！！」



いかん、タイミングを間違えたか。

誤嚥の心配をすべきところだったけどその顔が面白くて笑っていたら、村上君も息を吐いた後でつられてちょっと笑った。



村「まあ、たまには休むのもええかもな」


「よし、じゃあ寝ろ」


村「眠なるまでちょっと喋ってもええ？」


「ちゃんと寝るならね」








「ほんとに送っていかなくて大丈夫？」


村「おん、もうばっちり」


私とカーテン越しにどうでもいい話をした後で小一時間くらい寝て、彼はしっかり元気になったみたいだった。

恐るべし若者の回復力。


具合が悪かったりご飯を食べてなかったり、体調が悪くなくても思い出した時は保健室に寄って私に健康チェックをさせること。

それをしっかり約束させて、暴走機関車マグロ君を解放した。


「時々ここに顔出してくれる約束、忘れないでよ」


そう言ったらにかっと笑った後で、彼がポツリとつぶやいた。


村「保健の先生がカワイイってみんな騒いでたけど、都市伝説やと思ってた」

村「ご褒美もらえるんならまた来るわ。絶対」


「うん、お菓子準備して待ってる」



お世辞でも嬉しいこと言ってくれるじゃないか。

頑張り屋さんの彼の、つかの間の休憩所になれば、もうそれで充分。



ガラガラと音を立てて村上君が出ていくと何だかちょっと寂しくなった事は、黙っておこう。





Fin

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