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安「僕じゃ頼りにならんかもしれんけど」
「そんなことないよ」
たとえ生徒でもさっきまで押しかけてきていた有象無象に比べたら100倍頼りになる。
体から1/f揺らぎかマイナスイオンでも出てるんじゃないだろうか。
ゆっくり往復するあたたかい彼の手と膝に包まれて、私は無意識に目を閉じていた。
「みんな具合悪い時は私の所に来るのに、自分が具合悪い時は自分で何とかするしかないんだなぁとか思ったら虚しくなるね…」
安「そうかぁ、Aちゃんはがんばってるなぁ」
「でもそれが私の仕事だしそんな事生徒には関係ないのに」
安「おんなじ人間なんやからつらい時は誰にでもあるやろ」
「アニメ見てて徹夜したから仮眠させて、とか次の授業出たくないから具合悪いことにしといて、とか」
安「うんうん、そんなんはあかんなぁ」
「危険日に避妊しないでヤっちゃって生理が来なくてどうしようとか、擦りすぎて下半身腫れて痛いから何とかしてとか」
安「おぉ、えぐいな」
「家でヌけなくてここでヌくから視姦して、とか手ぇ繋いだカップルが2人で休みたいからベッド貸して、とか言ってきたり。性処理場じゃないっつーの」
安「あちゃあ」
鼻を抜けるようなひときわ甲高い声が頭の上から聞こえて思わず笑ってしまうと、私の髪を弄んでいた指がそっと、閉じたまぶたのうえに止まる。
安「だいじょうぶ。今は僕しかおらんから、ゆっくり休みぃ」
―――やばい寝てた!!
チャイムの音にびっくりしてソファから飛び起きる。
柔らかくて暖かかった頭の下の膝枕はいつの間にかアイスノンに変わっていて、安田君の姿はない。
ついさっきあったことを思い出して背中がすうっと冷たくなった。
私さっき、生徒に言ってはいけないことを口走らなかったか?
ていうか膝枕がもうアウトだろ。
ああ、もう。保健の先生失格。
思わずうなだれた目の端に、テーブルの隅のメモが映った。
“カットバンもらったよ。今日の事は二人だけの秘密な しょうた”
頭痛はいつの間にか消えていた。
Fin
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めろんぱん(プロフ) - きりん虫さん» こちらこそ!!!!来年もどうぞ!よろしくお願いいたします!!!!胸キュン年納め、ありがとうございました!!!!!!涙 (2020年12月31日 9時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» 年の瀬にふざけて終わったよ!ブルームーンさんもどうか良いお年を。そして来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» 肉(笑)お歳暮という事でひとつご笑納下さい。来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - お疲れさまでした!毎回とっても楽しませて頂きました!良いお年を〜♪ (2020年12月31日 8時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - すばりょーーーーーーーーーーー!!!!!って叫ぶだけのコメント残そうとしたらあとがきで死にました え、肉送ったらいいですか??? (2020年12月31日 7時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年3月30日 6時