癒しの天才安田君 ページ38
癒しの天才安田君
安「先生、カットバンくださいなー、…ってどうしたん?」
保健室のドアを開けるなり、私の顔を見ておろおろと近づいてきた安田君は、きょろきょろ辺りを見渡して後ろ手にそっとドアを閉めた。
「…なにが?」
安「何かあったやろ」
鋭い。
今日は片頭痛で体調最悪なのに、朝からしょうもない仮病の生徒がひっきりなしにやってくるので、さっきやっと全員さばいて教室に帰したところだった。
しかし、感情やら体調やらが顔に出ている様では保健の先生失格。
私は安田君に向かってにっこり笑って見せた。
「何でもないよ。ちょっと忙しかっただけ」
ほっぺたをむにっとつままれる。
「いひゃい」
安「嘘笑いはやめなさい。顔色も悪いで」
問答無用で手を引っ張られてソファに座らされる。
安田君は一回廊下に出て保健室の扉に「不在です」のプレートを掛けたあと、自分もソファの端っこにちょこんと座った。
私の方を見て、ぽんぽん、と自分の膝をたたく。
え。
戸惑っていたらまた手を引っ張られて、傾いた頭はそのまま安田君の膝の上に着地。
こ、これは、膝枕…!!
「いや、さすがにマズイよ」
安「ええのええの。いつも僕らの事甘やかしてくれてんのやから、たまには交代しよ」
「でも」
安「ええから。気付いてないのかしらんけど、病人より病人みたいな顔してるからな」
うう。そういわれたら途端に具合が悪いのを自覚してしまう。
目を閉じたら自然に安堵の息が漏れた。
頭の下はちょうどよく柔らかくて、温くて、いい匂いがして
そのうちに額の上に、そっと掌があてがわれた。
安「頭痛いの?」
なんでわかるんだろう、…ああ、無意識にこめかみ揉んでたからか。
思わずこくり、と頷いた。
安「熱はないな」
そのまま撫でられる頭。
安田君のてのひらは見た目に反してがっしりしている。
たまにごつごつした感触が顔を、髪の上をさらっていて、ちょっとドキドキする。
はたから見てたらクリームパンみたいな小さくてかわいい手なのに。わかんないもんだな。
女の子みたいなかわいい顔して、やっぱり安田君も男の子なんだなぁ。
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めろんぱん(プロフ) - きりん虫さん» こちらこそ!!!!来年もどうぞ!よろしくお願いいたします!!!!胸キュン年納め、ありがとうございました!!!!!!涙 (2020年12月31日 9時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» 年の瀬にふざけて終わったよ!ブルームーンさんもどうか良いお年を。そして来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» 肉(笑)お歳暮という事でひとつご笑納下さい。来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - お疲れさまでした!毎回とっても楽しませて頂きました!良いお年を〜♪ (2020年12月31日 8時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - すばりょーーーーーーーーーーー!!!!!って叫ぶだけのコメント残そうとしたらあとがきで死にました え、肉送ったらいいですか??? (2020年12月31日 7時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年3月30日 6時