日日是好日 2

横山主任 ページ22

横山主任






花見の日は快晴だった。



毎年恒例3課合同とかめんどくさいに決まっとんのに、今年の幹事はうちの課の村子やからますます始末が悪い。


うちの課は全員が村子指令のもとで役割分担され、俺は買い出しで、Aさんは場所取り。


３課分の大量の買い物を頼まれたあげく、「場所取り係はナンパされる可能性があるから、なるべく早くAちゃんと合流しろ」とかいうとんでもない事をへたくそなウインクしながら言うてきた村子に軽く殺意が芽生えたけど、たぶん返り討ちにされて終わりやから黙ってうなずいておく。





去年中途で入職したAさんは花見に参加するのは初めてで、場所取り係を拝命してちょっと嬉しそうに口角を緩めていた顔をちょっと思い出す。


３課分の大量の酔っ払いと二日酔いができるその会を楽しみにしてんのは多分課長たちだけやのに。




花見の係なんてめんどくさいだけやで。

前の会社では花見とかなかったんかな。



前の会社の話がタブーなのは、なんとなく感じていた。


そんな話の流れになると、彼女は明らかに石みたいに硬くなったから。



仕事中もミスしないように過剰なまでに気を遣ってるから、よっぽど厳しい会社だったんかな、と思ってはいた。


Aさんはいつもミスがない様に準備は万端。どんな事態になっても先読みしてだいたい何かの準備はしてる。


課の評価としては、よく気がついて仕事ができるいい子が来てくれてよかったぐらいの認識やけど、俺はちょっと目が離せなかった。


ずっとビクビクして、ミスしたら死にそうな顔で必死に仕事をしてるのが気になっていた。




あれでほんまに仕事、楽しいんかな。









横「おつかれさん」

「主任、おつかれさまです」


なかなかいいポジションの桜の木の下ででっかいビニールシートの上でちょこんと体育座りをした彼女は、俺を見て嬉しそうな表情を浮かべた。

うん、かわいい。

今日はまあまあ、リラックスしてる。







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