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電車に乗ってから会社に着くまでの時間で、多分彼女のHPは半分くらい減ってると思う。
彼女は、いろいろと目が離せない。
「大丈夫ですよ。子供じゃないんだから」
ちょっとムッとしながら自信満々に言い放ったAはしかし、痴漢されても気づかないようなふわふわした女の子で、まだ手も出してない俺の彼女。
自覚がないだけに余計に厄介。
安「渋やん、何か悩み事?」
その日の昼は、出張前の忙しさの隙間を縫って外回りの途中で安子と立ち食いそばに寄った。
安子は直属の部下で、いちいち口に出さんでも考えてることがわかる仕事の相棒で、女やし女子力高いけど気ぃ使わんでこういうとこで飯一緒に食えるし、一緒にいて楽な奴。
渋「ヤスって痴漢にあった事ある?」
ちかん、と呟いてどんぶりを両手で抱えてそばをすすった安子。リスみたい。すすり方が独特。
安「うち制服がかわいい事で有名な女子高やったから、しょっちゅうやったで」
渋「反撃とかしたん?」
安「もちろんさ。黙ってやられるわけないやん」
そう言うと安子はわっるい顔して微笑んだ。
黙っとけば夢見てそうなかわいい顔やから、うっかり触ってまうアホとかおりそうやもんなぁ。本性は尼崎のヤンキーやのに。
渋「どうやんの?」
安「えっとねぇ、いろいろあるけど。めんどくさいの嫌やったから、最終的にはペンに落ち着いた」
渋「ペン?」
安「細身の丈夫なボールペンをポケットに忍ばせといて、痴漢の手に思いっきりぶッ刺す」
なにそれ、こわ。
安「あからさまにカッターとかやと公になった時こっちもダメージあるけど、ペンやったら学生やし持ってても自然やん?穴開けるくらいの気持ちでこうブスッッ!と」
安子がそう言いながら箸を振りかぶると、後ろでそば食ってたおっさんがビクッと震えた。
渋「血ぃ見るんちゃう?」
安「ゴミ屑の怪我なんか知らんわ。身体的弱者が許してない手に触られる痛みに比べたら屁みたいなもんや」
こわいこわい。聞くやつ間違えた。
一気に食欲がなくなって箸をおいたら、安子は猟奇犯みたいな顔から一瞬で菩薩みたいな顔になって言った。
安「…渋やん、痴漢されとんの?」
渋「俺やないわ!」
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めろんぱん(プロフ) - きりん虫さん» こちらこそ!!!!来年もどうぞ!よろしくお願いいたします!!!!胸キュン年納め、ありがとうございました!!!!!!涙 (2020年12月31日 9時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» 年の瀬にふざけて終わったよ!ブルームーンさんもどうか良いお年を。そして来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» 肉(笑)お歳暮という事でひとつご笑納下さい。来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - お疲れさまでした!毎回とっても楽しませて頂きました!良いお年を〜♪ (2020年12月31日 8時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - すばりょーーーーーーーーーーー!!!!!って叫ぶだけのコメント残そうとしたらあとがきで死にました え、肉送ったらいいですか??? (2020年12月31日 7時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年3月30日 6時