4 ページ13
.
その時、戸に手を引っかけたまま止まったままの僕の耳に、クリアに聞こえた君の声。
「私は好きですよ。すごい人です」
なんにも聞こえなくなった。
そのいつもよりフワフワした、やさしい君の声が、誰の事を言ってるのかはまだわからんけど。
僕の事やったら、嬉しすぎるけど。
「ね、社長。…あら、社長寝ちゃってる」
心地よい君の声に背中を押されて、僕はやっと戸に掛けた手に力を込めた。
急にガラッと空いたふすまの勢いにびっくりして固まる酔っ払い達と、ぐっすり寝入る社長と、その横にぺたんと座ったAさん。
丸「ハイ!すんませーん。うちの社長病み上がりなんで、そろそろ勘弁したって下さーい!」
Aさんにさりげなく社長を運ぶのを手伝ってもらうふりをして、座敷の外に出す。
ちょっと酔ってるのか、トロンとして赤い顔をしている彼女。
意識しちゃうのはしょうがない。
丸「あとは僕がやっとくから、このまま帰り」
「や、でも」
丸「ええから。ちゃんとタクシー使ってな」
酔いつぶれた社長ごと台所の母さんに託して、僕は彼女を直視できないまま、酔っぱらったおっさんらのお付き合いに魔の集会に戻る。
君の代わりの生贄やと思ったら、本望や。
丸「はぁ」
しんど。
主の社長が寝落ちした宴会は自然に尻つぼみになり、子供の頃トラウマになるほど嫌悪していた社長の飲み会は大人になった今ではそんなに悪い事ばかりではない、と実感した午後11時。
それでも1日営業してきた後で疲れた体に自分のペース配分無視で入れた酒はぐるぐる回った。
最後の酔っ払いも無事にタクシーに乗せて、Aさんにちゃんと帰れたかメールせなあかんな、と思いながらぐったりして自分の部屋のドアを開ける。
ガチャ、ーーバタン。
閉める。
急いで台所に走って、片付けをしている母さんの背中に叫ぶ。
丸「ちょっとッ!なに?!何でAさん僕のベッドで寝とんのッッ?」
母「あら、やっぱり寝ちゃった?タクシー呼ぶから帰りなさいって言ったんだけど、『終わって片付け手伝ってから帰る』って聞かなくて。とりあえず隆平の部屋で休んでてもらったんやけど」
いやいやいやいや!
あかんやろ!!
.
464人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろんぱん(プロフ) - きりん虫さん» こちらこそ!!!!来年もどうぞ!よろしくお願いいたします!!!!胸キュン年納め、ありがとうございました!!!!!!涙 (2020年12月31日 9時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» 年の瀬にふざけて終わったよ!ブルームーンさんもどうか良いお年を。そして来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» 肉(笑)お歳暮という事でひとつご笑納下さい。来年もよろしくお願いします! (2020年12月31日 8時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - お疲れさまでした!毎回とっても楽しませて頂きました!良いお年を〜♪ (2020年12月31日 8時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - すばりょーーーーーーーーーーー!!!!!って叫ぶだけのコメント残そうとしたらあとがきで死にました え、肉送ったらいいですか??? (2020年12月31日 7時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年3月30日 6時