《6》その瞳の奥へ←9/2up ページ29
翌朝、ゆっくり二人でお風呂に入ってから旅館を後にした。
帰り道は車の中でずっと話をした。
「へぇAちゃんは4人兄弟なんだ？」
「はい。全部弟で……その面倒をみていたらこんな強気になったような」
忙しい両親の手助けと思って家で自分の事も弟の事も自ら色々していたからか、頼るのが未だに苦手だ。
「しっかり者でいいじゃない。オレなんて優秀な兄が2人……二宮家のお荷物かな。3男だよ？」
「お荷物だなんて！」
意外だった。話していても頭も良いしこの容姿。さぞご両親からしたら自慢の息子さんだと思うけど……
「まぁほら、いいんだよ。優秀な兄たちに家は任せてオレはさっさと大学の時から家出て、在学中から働き始めちゃったし、育ててもらって感謝はしてるけど、もう関係ないってかね」
少し自嘲君に呟く和也くん。
微笑んでいるのでいるのに瞳が笑っていない。
やっぱり彼は何か抱えているのだろうか？
『心配した……居なくならないで』
そう言っていたあの震え方は、普通とは思えなかった。
「そうなんですね、でも私にとっては和也くんはもう、とっても大切な人ですよ？」
「ありがとう……なんか、照れくさいけど嬉しいよ」
前を向いて運転する顔は変わらないけれど耳が赤くなって見えた。
そう、照れると和也くんは耳が赤くなると言うくせを昨日見つけたばかりで嬉しくなる。
「ふふ……」
思わず笑った私の手が和也くんの手で膝の上で抑えられた。
「何かおかしい？」
「嬉しかっただけ。和也くんの事がどんどんわかるのが」
「ふぅん」
いきなり始まったこの関係だからこれからどんどん知る事が出来るのが楽しみだ。なんて思っていたら和也くんが咳払いをしてから楽しそうに言った。
「そうだねえ、オレも清楚に見えるAちゃんが、あーんな声出して啼くとか、あーんな艶っぽい顔しちゃうとか知れたしねぇ」
「ちょ……やめて」
「フハハ」
言われれば年甲斐もなく赤くなっているのが顔の熱さでわかる……油断も隙もないんだから。そんな風に一人でドキドキしていると、前を向いたまま和也くんが呟いた。
「あーもう、今すぐ抱きたい」
「え……昨日あんなに……」
あんなに求めたのに？とビックリしてしまうと和也くんはあっさり
「まだまだ足んねーよ」
何て言うから困る。そんな事言って動揺させないで欲しい。でも私だって……ね？
まだまだ、そばにいたい。そんな擽ったい帰り道だった。
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咲詩(さきうた)(プロフ) - はるちさん» はるちさん。コメント有難うございます！甘いだけのお話がやはり書けない咲詩、現れました←……ここから2曲がり？！ほどある予定です……楽しみと言っていただけて嬉しいです！！(T_T) (2019年10月23日 8時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
はるち(プロフ) - 甘々だった展開が動いてきましたね…。どうなっていくのか楽しみです。 (2019年10月19日 5時) (レス) id: 041d0ce1ae (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃんコメントレス遅くなってごめんね！(´∀｀*)ｳﾌﾌ、ねぇ彼が引っ掻き回してくれるかなー、どうなるか今分岐点なんだよー。いつもありがとう！ (2019年9月16日 21時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - 夏休みって時間があるようなないような。。バタバタしてたよ〜…やっと終わったね！そして潤くんが波を立てそうな予感ですね…。どこまでも咲ちゃんのお話読みたいです♪明日も彼らを見れる、穏やかな毎日に感謝だね…！彼らの、咲ちゃんの明日も明るくなりますように！ (2019年9月4日 17時) (レス) id: c96c7aeb8a (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - はるちさん» はるちさん。ありがとう御座います！ふふ、甘いですよぇ暑くて怠くてグダグダ仕事してる私の頭の中で……こんなことを二人はしております笑読み返して頂けているなんて、幸せです、ありがとう御座います！ (2019年8月21日 8時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年7月7日 21時
