143 スカウト/ VS先輩 ページ43
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メイクさんがAの前髪をピンで止めて、道具をカチャカチャと準備しているところをぼうっと見つめる。特に意味はない、開いてる目のやり場がそこにあるだけ。
「でね、ぼくはこう思うんだけど、…Aちゃん、ぼくの話聞いてないね?」
「え? ああ、うん。聞いてるよ」
「嘘だね！ぼーっとしてるね」
同時に横で同じようにメイクをしてもらっている日和先輩がぎゃあぎゃあと騒ぐから、Aは眉を寄せた。
「何か考え事でもしてた?」
「考え…てな、い」
「…嘘が下手すぎるね。そんなんじゃこれからやるドラマ撮影に不安しかないね」
「うるさいなあ…」
仕事は仕事で割り切るってば、と言えば、日和先輩は怪しむ目を向けてくる。本当にしつこい人だな。
というかAの周りはこういう人が多い気がする。
スバルといいあんずといい、なんだというのだ。
__「…それでも私は、Aちゃんと友達になりたいよ」
あんず、転校生、プロデューサー、…友達?
( …私には友達はいらないって言ったのに。どうしようかなあ、本当 )
問題はそれだけじゃない。
夏目のあの言葉、あの答えと言った方が正しいか。
「『幸せの定義』…って、なんだろ」
「ん?」
「…」
「幸せの定義なんて辞書を引けば簡単に分かるね」
「…そうだけど、」
簡単に分かるのならどうして夏目はわざわざそんなことを言ってきたの。
Aの頭は人並にできていないことをいちばん知っているはずなのに。
__「幸せの定義を知ってル? …ボクがセンパイとユニットを組んだ理由を知りたいなラ、まずそれを理解してないト」
__「…? なに、」
__「渉にいさんのことについてハ、本人に直接聞いてみなヨ。とっても寂しそうにしてたからサ」
そう言った後、夏目は「誕生日おめでとウ」と微笑んで去って行った。
Aに何も言わさずに。お礼も何も言えなかった。
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かげやま(プロフ) - LIさん» コメントありがとうございます！ただただ私が書きたいことを書いているので、そう言ってくださる方がいることに喜びを隠しきれないです(;_;)お待たせしてしまうこともあるかもしれませんがこれからも楽しんでもらえるように頑張ります！本当にありがとうございます。 (2022年9月26日 6時) (
レス) @page44 id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
LI(プロフ) - 今日の更新ありがとうございます！本当にこの物語大好きです。毎回泣きそうになりながら読んでいます！このお話の内容が本当に大好きです。これからも作者様のペースで更新頑張ってください。素晴らしい作品をありがとうございます。 (2022年9月25日 20時) (レス) @page42 id: 8345af9beb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年8月21日 1時
