タナトフィリア ／ gr ページ21
｢お前の所為だ。｣
彼女の瞳には明らかな殺意が籠っている。鋭い眼差し、荒くなった呼吸。然し、物足りない。此方に向けられた刃の先は大きく震え、強い殺意の中に存在する恐怖が姿を現してしまっている。その恐怖心が無ければ、今頃俺は。考えただけで体が昂る。
｢御前の所為で姉さんは、御前が居なければ、御前さえ居なければ！許さない、御前だけは、私が、絶対に…ッ！｣
ぼろり、彼女の瞳から溢れた大粒の涙が地面を濡らした。彼女の瞳に渦巻く日に日に膨らむ憎悪。それと共に膨らむ期待。嗚呼、早く。理性なんて壊してしまえ。御前の姉への愛を見せてみろ。
｢俺の所為？…は、笑わせるな。御前の姉が死んだのは自ら望んだ結果だろう。俺が指示したわけでも、望んだ訳でもない。｣
嘲笑うように彼女を見遣る。彼女の怒りを煽るように。大きく目を見開いた彼女は俯き、小さく肩を震わせている。本当に、理性というものは面倒臭い。
コツリ、踵を鳴らしながらゆっくりと彼女の前へと歩みを進める。目前になり漸く此方が近付いて来ていた事に気が付いた彼女は、慌てたように此方に刃先を向けた。涙をいっぱいに溜めた瞳に映るのは殺意よりも大きな不安。恐怖。
流石の俺も、もう我慢の限界だ。震える刃を手で掴み、彼女を見据える。掌から鮮血が流れ落ち地面に赤い水溜まりを作る。大きく目を見開き、呆然とその様子を眺める彼女の柄を持つ手に自身の手を重ねる。絶対に離さないように強く握っては刃先を自身の胸元、心臓部付近へと動かす。
嫌だ、と必死に手を離そうとする彼女。そんなことをしたら萎えるじゃないか。彼女の手を引き、より自身に近付ける。興奮から口角が吊り上がってしまうのもそのままに、彼女の耳元で告げる。
｢御前の姉は…、玩具としては丁度良かったが、女としてはイマイチだったゾ。捨てて正解だったな。｣
息を飲む音。胸部に熱い感覚。やっと俺は、好いた女に、
─
タナトフィリア：死や、死を連想させるものに性的興奮を感じる性的嗜好の事。破滅欲とも密接に関わっているとも考えられる。
スードゥズーフィリア ／ zm→←ヴァンパリズム ／ sha
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 397人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
