[続] 私の王子様 2 - Yuta.Kishi -

072 K side ページ21

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「岸くん、好き。」





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白雪姫の衣装を着た白石ちゃんに


連れてこられた教室で


告白とともに唇が重なる





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俺は突き放すこともできなくて


ただただ白石ちゃんが離れるのを待った





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『....ごめん。』





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ようやく絞り出した言葉は


たったの3文字





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「Aさんの事好きなの？」





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返ってきた言葉はあまりにもシンプルで


俺は首を縦にする





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「そっか、ごめんね。」





『....うん。』





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この時、もし俺が


付き合ってるって言ってたら


未来は変わってたのかもしれない





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そんなことを気づくのに


俺は遅すぎた





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俺たちは教室を出て


体育館に行くと


廉の隣に座ってるはずのAがいなかった





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『廉、Aは？』





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俺の問いかけに


若干目を丸くした廉は





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「....トイレじゃね？」





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そう返してきたので


そっか、とだけ返事をする





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でも2年生の舞台発表が始まる前になっても


Aは帰ってこない





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『俺、A探してきます！』





「お前舞台あるやろ、ここおれ。」





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俺は舞台発表ある為に体育館に残らされて


廉はなにかに焦ったように


Aを探しに行く





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本来ならば俺が行くべきなのに





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舞台発表を投げ出してまで


Aだけを選べない俺は


自分自身に腹が立って仕方がなかった





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舞台発表が始まって


3年生が終わっても


Aと廉は帰ってこなかった





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『...、』





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この焦りは


俺が持つべきじゃねぇのにな





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